23/1/24 大規模バランスアップデート(パッチ5.0.11)が適用されました。
目次
Summary
- https://news.blizzard.com/en-us/starcraft2/23893118/starcraft-ii-5-0-11-patch-notes
- IEM Katowice直前にバランスアップデート&新マップ到着です!
詳細
22-23シーズンを締めくくるIEM Katowiceまであと2週間となった今、なんと予告されていた大規模バランスアップデートが適用されました!
おいおい大丈夫なんかと思いますが、すでにESL Weekly Cupでは新パッチ&新マップでプレーしていたので、プロプレイヤーの準備はおそらく大丈夫だろうとのこと。
一部アップデート案から変更になった要素もありますので、まずは変更を見ていきましょう。
バランスアップデート内容
ワーカーユニット
- 完全な減速を待つこと無く攻撃開始できるようになる。
今まではピタッと止まらないと攻撃しなかったところ、もう少しキビキビと攻撃してくれるようになる・・・というところでしょうか。
ワーカー動員やSCV Pullがやりやすくなるかもしれませんね。
ザーグの変更案
Creep Tumor
- クールダウン:10.71s→13.57sに増加。
- 視界:11→10に減少。
序盤のクリープの伸びを少し減らすことと、クリープの伸びとザーグの視界を一致させたいという意図の変更のようです。
Hatchery,Lair,Hive
- Creepの拡大間隔:0.3→0.25に減少。
- 視界:10/11/12→12/12/12に増加。
こちらもクリープの伸びと視界を一致させることと、Creep Tumorによるクリープの伸びが遅くなるぶん、
基地からのクリープの伸びを少しだけ増やし、ゲーム序盤の防衛を安定化させることが目的のようです。特に対バンカーラッシュなどに効きそうですね。
Viper
Abductに若干のナーフ。これにより、2体のユニットをひょいひょいとノータイムで引っ張ることはできなくなりますし、
スキルキャストに時間がかかれば、倒されてしまう可能性も上がります。
Ultralisk
- ユニットサイズ:12.5%減少
- レンジスロップ(攻撃を開始してから、攻撃が成立する敵の範囲):1→1.25に増加
みんな大好きウルトラさんにまさかの調整。今回のパッチの目玉と言って良いでしょう。
12.5%減少とありますが、これがユニット半径の話であれば、全体のサイズは24%減くらいになります。見た目的にそっちっぽい感じはします。
Ultraliskはサイズが大きく詰まりやすいため、狭い場所では前線になかなか出てくれないのがネックではあったため
これは大きなバフと言って良いでしょう。TLOはユニットサイズ減少を以前から主張していましたので、そのとおりになりましたね。
レンジスロップの調整はわかりにくいですが、射程1のUltraliskが殴り始めた際、敵が1.25の範囲にいれば攻撃が完了するようになる、という感じです。
これまでは攻撃モーションが始まったのに敵が範囲1から出てしまい、モーションがキャンセルされて攻撃が行われないのを良くみかけましたが、これがかなり減りそうですね。
かなり使いやすくなる変更と言っていいと思います。
Hydralisk
- Muscular Augmentsのオフクリープにおけるスピードボーナス:0.79→0.98に増加。
- ダメージポイント(攻撃を終えるまでの時間。短いと攻撃と攻撃の間に移動しやすくなる):0.15→0.1に減少。
Hydraliskにもバフが入ります。オフクリープでのスピードアップ研究の効果が上がるのはシンプルに強いですし、
ダメージポイントが下がることで、(移動速度上昇とも合わせて)押し・引き打ちをキビキビ行えるようになります。
Brood Lord
- 移動速度:1.97→2.24に増加
- Brood Lordが生み出したBroodlingの継続時間:5.71→3.57sに減少
ゲーム内で3番めに移動速度が遅いユニットに移動速度アップが入ります。
WOL時代に猛威を振るったトラウマか、射程Nerfなどもありレイトゲームユニットとしては使いづらさも目立っていたBrood Lordですが、
移動速度が上がれば若干使いやすくなるのではないでしょうか。射程を強化するとそれはそれで問題になりそうなので、ちょうどいい調整ではないかと思います。
筆者も移動速度をバフしたほうがいいと思っていました。ホントです。GSL実況で言ったこともあります。
Brood Lordの移動速度強化の代わりに、こちらにナーフが入ります。トレードオフということでしょう。
敵の動きをBroodlingで制限し、Brood Lord自らが殴られないようにできるのもBrood Lordの強みですので
移動速度増加と合わせると、全体的に強化されたか弱体化されたかは難しいところです。
なお、建物から生まれたBroodlingの継続時間はそのままです。
Ravager
- 変異時間:8.57s→12.14sに増加。最大0.36sあったランダムなディレイを削除。
Ravagerは変異時間のナーフ。序盤のラッシュに使われる場合に4秒差は大きいでしょう。
ローチで攻めて弱ったらRavagerに変異して・・・のような動きも弱くなります。
ザーグまとめ
Creep Tumorナーフ、Ravagerナーフで序盤の防衛能力・攻撃能力を弱体化させ、
Hydralisk、Ultralisk、Brood Lordの強化で中盤、終盤を戦いやすくした印象です。
ただ強くなりすぎないようにViper、Brood Lordのナーフなども入れています。
全体としてはバフされたと言って良いのではないでしょうか。
コミュニティではなぜずっと強いザーグを強化するのか?といったアンチキャンペーンもみられ、秘密結社ザーグ(Zerg Caval)が存在するといった陰謀論まで飛び出しました。
実際どうなっているかはIEM Katowiceで明らかになるでしょう。
プロトスの変更案
Shield Battery
強力な防衛スキルのナーフ。回復レートがスキル使用時100.8→75.6に下がる、なかなかのナーフです。
攻撃側が大幅に兵力を持っている場合、戦闘を有利に進められるようにしたいという意図があるようです。
Observer
- 移動速度:2.63→2.82に増加
- モデルサイズ:10%拡大(視覚的な要素のみ)
移動速度を上げて、偵察やクリープ阻止、軍への追随をやりやすくする一方で、
サイズが大きくなってクローク状態でも気づかれやすくなっています。
Archon
- 建物とのコリジョン半径:0.75→0.56に減少(1マスの隙間に収まることができるようになる。他ユニットとのコリジョンには変更無し)
Ultraliskに続き、ダイエット変更第二弾。Archonが建物の隙間に挟まって出られないケースはよく見かけますが、これがなくなります。
シンプルに使いやすくなる変更ですね。
High Templar
- 移動速度:2.63→2.82に増加
これもシンプルに使いやすくなる変更。HTが遅れてくることが減りますし、{WithImage|EMP Round}}も避けやすくなるでしょう。
開発チームによると、Viperのナーフやプロトス航空ユニットと合わせて、Viper弱体化の意図もあるとのことです。
Disruptor
- Purifier Orbの半径:1.5→1.3575に減少
これはシンプルにナーフとなりました。面積でいうと19%ほど爆発範囲が減ることになり、シンプルに巻き込めるユニット数が減ることになります。
気づいていないユニットに対する破壊的なダメージを減らししつつ、ゾーニングやWidow Mineなどの固定ユニットの狙撃に影響が少ないようにしたいとのこと。
High Templarの強化と、後述するGhostの弱体化とのバランスもありそうですね。
Carrier
- Interceptorの攻撃優先度:20→19に減少。
攻撃優先度と聞くと分かりづらいですが、何も指示しない場合どの敵ユニットを攻撃するか?が攻撃優先度です。
Carrierを始めとした戦闘ユニットの攻撃優先度は20ですので、射程内にCarrierがいる場合、InterceptorではなくCarrierが勝手に狙われるということになります。
状況にもよりはしますが、攻撃側はCarrierをフォーカスファイアする必要がなくなるため、基本的にはナーフと言って良いのではないでしょうか。
開発チームとしても、アンチユニットを用意した場合にCarrierに対処しやすくしたかったようです。
なお、調整案段階ではあった、Interceptorのシールドナーフと攻撃対象周りの飛行半径の増加調整はなくなっています。
Sentry
- 生産時間:26.4s→22.9sに減少
- 移動速度:3.15→3.5に減少
Shield Batteryのナーフの埋め合わせになるでしょうか。これはGatewayから生産した場合の時間になります。
出てくる時間が早くなるので、最序盤のZerglingラッシュなどには強くなりますし、Hallucinationを早めに使うこともできるようになります。
移動スピードアップでは、Guardian Shieldを使った時に軍についていきやすくしたかったようです。
Forge
- レベル1アップグレードの研究時間:128.6s→121.6sに減少
- レベル2アップグレードの研究時間:153.6s→144.6sに減少
- レベル3アップグレードの研究時間:178.6s→167.9sに減少
シンプルに、ただ研究時間が早くなるバフです。アップグレードがし易い種族ですので、時間が早くなるのは大歓迎でしょう。
開発チームとしては、プロトス地上軍はDisruptorに大きく依存していると考えており、
DisruptorやShield Batteryがナーフされていることもあって、アップグレードの恩恵を早く受けられるようにしたかったようです。
Dark Templar
プロトスまとめ
Battery Overcharge、Carrier、Disruptorといった強力なユニット・スキルをナーフしつつ、
いくつかのユニット、アップグレードを大幅強化とはいかないまでも使いやすくする調整でした。
Battery Overcharge、Disruptorというプロトスのコアスキル・ユニットの弱体化がどう響いてくるかが注目です。
全体としてはナーフに見えますが、長らく最弱レースであるプロトスが弱体化されるのはなぜか?という批判もコミュニティでは多くありました。
テランの変更案
Viking
- Fighter Mode(飛行モード)時のダメージポイント:0.12→0.04に減少。
移動スピードも遅く、ダメージポイントも高いためマイクロが難しかったVikingですが、これでより効果的なマイクロが可能になります。
射程を生かした引き撃ちもかなりやりやすくなるでしょう。
Liberator
開発チームの意図としては、ザーグがQueenを多くつくるようになりLiberatorの有用性が下がったこと、
プロトス相手のレイトゲームでLiberatorに移行するにはコストが高すぎることがこの調整の理由とのこと。
あまりピンときませんが、テランに嬉しい変更であることは間違いないでしょう。
Ghost
- Enhanced Shockwave:削除。
- EMP Roundの効果範囲:1.5→1.75に増加。
- Steady Targetingは、キャスト中に対象が距離14を超えた場合キャンセルされる(キャストレンジは10)
- Steady Targetingは、マニュアルでキャンセルが可能になった。
vZ、vPともに中盤~終盤で大活躍してきたGhostに弱体化が入ります。
EMP Roundはデフォルトの効果範囲こそ増加するものの、アップグレードが削除されるため
アップグレード後と比較すると効果範囲は24%減。プロトスはもちろん、InfestorやViper相手もやや弱体化します。
さらにvZではUltraliskにLurker、Brood Lordなどのレイトゲームユニットを葬ってきたSteady Targetingも弱体化。
照準を合わせる1.43秒の間に距離14より離れるとキャンセルされますので、もし最大射程10で打っていた場合、
狙われてすぐに逃げるのであればBrood Lordなどを除く、ほぼ全てのユニットが逃げられることになります。
特にLurkerの場合はアップグレード後のお互いの射程が10である以上最大射程が打つのが基本になり、Lurkerのアップグレード後の移動速度の速さも相まって、逃げられるシーンが多くなりそうです。
Banshee
- Hyperflight Rotorsの研究時間:121s→100sに減少。
- Hyperflight Rotorsのコスト:150/150→125/125に減少。
Bansheeの移動速度アップグレードであるHyperflight Rotorsが早く安くなります。
正直あまり見ないので、もっと使って欲しいという意図があるのでしょう。
後述するCycloneの調整と合わせて、ハイスピードメックが観たいという意図もあるでしょうか。
Cyclone
- Mag-Field Acceleratorのダメージボーナス:+20 vs Armored→+10 vs 全ユニットに変更。
- Lock OnはCycloneを脅かす空中ユニット(対地攻撃ユニット、スペルキャスター)を優先するようになる。
- Lock Onのオートキャストレンジ:7.5→7に変更(Aムーブ中のCycloneが移動中にキャストレンジ以下にならないための処置。アビリティ自体のキャストレンジは7のまま。)
現状、アップグレード後はvs Armored、vs Structureのスペシャリストという印象のCycloneですが、開発チームはもう少し丸みを帯びたユニットにしたいようです。
全ユニットに高火力のロックオン逃げ・追い撃ちができるようになる代わりに、対Corruptorや建物スナイプなどの威力は落ちます。
エアユニットを優先するのは、強力なエアユニットがいる場合、Zerglingなどをロックオンしなくなるので、有用な場面も多そうですね。
Sensor Tower
- レーダー半径:30→27に減少。
正直今一つなんでナーフされるのかわかりませんがなんかナーフされます。面積でいうと19%減。
開発チームとしては、特にTvTなどでテランの守備のスキを突きづらくなり、ゲームをスローダウンさせていると判断したようですね。
Raven(リワーク)
- ガスコスト:200→150に減少。
- 生産時間:42.9s→34.3sに減少。
- Interference Matrixの効果時間:11s→8sに減少。
- Anti-Armor Missileのアーマー削減効果:3→2に減少。
- Research Explosive Corvid Reactor:削除。
- Auto Turretの継続時間:10s→7.9sに減少。
- Auto Turretの体力:150→100に減少。
- Auto Turretのアーマー:1→0に減少。
- Auto TurretはNeosteel Armorの影響を受けなくなる。
Ravenにはリワークが来ました。全体的には、ユニット性能を少しマイルドにする代わりに生産時間やコストも下げることで、1体1体は出しやすくなっています。
クリープ除去やObserver退治に、ディテクターユニットとして1体だけ出す、というのはかなりやりやすくなっていますね。
開発チームとしては、Auto Turretを弱体化し、TvT序盤でのタレット戦略の強さを削ぎつつ、TvPなどでのハラス能力はある程度維持したい意図があるようです。
テランまとめ
Ghostのナーフが目に付きますが、Viking、Liberator、Banshee、Cyclone、Ravenに関しては使いやすく調整したいのかな?という感じですね。
とはいえやっぱりGhostのナーフは大きく、特にレイトゲームユニットが強化されたザーグ相手のレイトゲームがどうなるかは注視する必要がありそうです。
バグ修正、QOLアップ変更
バランス調整とは異なりますが、バグ修正やより遊びやすくなる修正も数多くリストアップされています。
Banshee
- 攻撃完了後、最初のミサイルが0.11s遅れることが無くなる。
このディレイのせいで最初のミサイルが出る以前に移動ができたのを修正したいようです。2発目も0.11s早く出るようにして、2発の間の0.11sの差は維持されます。
Factory
- 最大スポーン範囲を1増加。
おそらくですが、Thorなどのデカいユニットが生産完了して出てくる際、周りがふさがっているとFactoryから出てこない現象を減らすためのものと思われます。
Widow Mine
- ランダムなバロウ/アンバロウ時のディレイ:0.36s→0.18sに減少(平均時間は変わらず)
- マニュアル操作しない限り、Zerg Eggを狙うことがなくなる。
- マニュアル操作しない限り、Neural Parasiteされたユニットを狙うことがなくなる。このふるまいは他ユニットでも同様である。
Cyclone
- Medivacに乗った際、Lock Onがクールダウンに入ることがあった現象を修正。
- マニュアル操作しない限り、Zerg EggをLock Onすることがなくなる。
Shield Battery
- Stopコマンドを連打した際、シールドの回復レートが上昇することがあった問題を修正。
ヤバいバグとして知られていた現象ですが、そこまで問題になることはなく、ここで修正されました。
Adept
- ワープイン中のAdeptと同時に選択された場合、Psionic Transferの影がキャンセルできない事があった問題を修正。
- Psionic Transfer使用中でも、Warp Prismに載せることができるようになる。(影はキャンセルされる)
恥ずかしながら、影を出しているときにワープリに載せられなかったのを初めて知りました。
地味ですがありがたい修正ですね。
Queen
- 最初のCreep Tumorがキャンセルされることがあった問題を修正。
- スポーン後0.6s間特定の命令を受け取らない現象を修正。
Lurker
- ランダムなバロウ/アンバロウ時のディレイ:0.36s→0.18sに減少(平均時間は変わらず)
- 地表のオブジェクトにより攻撃がブロックされることがあった問題を修正。
- 輸送機に乗ったユニットにダメージを与えられることがあった問題を修正。
Orbital Command
- MULEがCommand Center近くのRefineryを選択して降下可能だった問題を修正。
そんなことあったんだ・・・知らなかった
Hydralisk
- 遠距離攻撃と近接攻撃が同じ間隔で行われるようになる。
- スマートコマンドカードにおいて、Lurkerへの変異命令を出してすぐに変異がキャンセルされることがあった問題を修正。
Stasis Ward
- 攻撃優先度:10→20に増加。
- Stasis Wardにかかったユニットは、Stasis Wardの効果終了時に取ってほしい行動として建築以外の命令を受け取ることができるようになる。(今まではムーブコマンドのみだった)
攻撃優先度20は一般的なユニットと同等ですので、より殴りやすく/殴られやすくなります。
また、Stasis Wardにかかったユニットには建築以外の全ての命令ができるので、Blinkを指示しておいたり、Psionic Stormを指示しておいたりも可能です。
Raven
- Interference Matrixを受けたユニットが、ストップコマンドを受け付けないことがあった問題を修正。
- Interference Matrixを受けたユニットが、アタックムーブ命令時、攻撃射程よりも前に歩いていくことがあった問題を修正。
- Interference MatrixがImmortalのBarrierのクールダウンを適切に停止されるようになる。
この2つ目の修正はかなり大きそうです。Interference Matrixを受けたColossusがフラフラと前に歩いていってやられるシーンを何回も観ましたが
これが原因だったんですね・・・シンプルにプロトスにとってはありがたい変更になりそうです。
Swarm Host
- ローカストの射出が現在の命令を妨げることがなくなる。
ザーグの基地
その他バグ修正
いーっぱいあるので、直接ご覧ください!
マップ変更
シーズン途中ですが、マップがすべて変更されています。ラインナップは以下の通り。
IEM Katowice 2023もこちらのマップで行われます。