23/9/20 5.0.12 PTRパッチノートが公開されました。
目次
Summary
詳細
Dreamhack SummerにGSL Season2、Gamers8など大規模大会が軒並み終了し、特にここ最近プロトスがプレミアトーナメントで活躍できないこともあり、
そろそろバランスパッチ欲しくね…?といった声がコミュニティからも多く聞こえるようになりました。
そんなタイミングで満を持して、今年1月以来のバランスアップデート案が公開されています。
今回のアップデート案はBlizzardが公開した公式のものではなく、ESLマネージャーのAlex氏からコミュニティ案として公開されたもの。
プロプレイヤーで構成されたバランス評議会(Balance Council)が取り組んでいた案です。
※9/21 追記
PTRパッチノートとしてBlizzardから正式に公開されました。それに合わせ、初期案から修正を行っています。
なお、まだあくまでテスト段階にすぎませんので、以下の内容は変更する可能性があります。
バランスアップデート内容
バランスアップデートの目的
- プロレベルのPvTにおいて、Ravenを使った序盤の攻撃を安定してディフェンスできるようにし、中盤~終盤にテランの軍とDisruptorに依存せず戦えるようにするため。
- マスGhost、Baneling、Disruptorの強さを削ぐことで、中盤・終盤のユニット構成の多様性を増すため。
- 役割が特化されすぎているCyclone、Mothership、Infestorなどのユニットを、より多くのゲーム状況において有用にするため。
- ミニマップ上の重要なユニットや、Widow Mineのターゲット、Disruptorのクールダウンインジケーターなどを視覚的にわかりやすくするため。
- Tempest、Mothership、Brood Lordなどのユニットをより運用しやすくすることで、レイトゲームをより動きがあるものにするため。
テランの変更案
Cyclone(リワーク)
- 生産コスト:150/100→125/50に減少。
- 生産にTech Labが不要になる。
- 体力:120→110に減少。アーマー:1→0に減少。
- サプライ:3→2に減少。
- 通常攻撃の射程:5→6に増加。
- 通常攻撃のダメージ:11(+2 vs Armored)に変更。クールダウン:0.491sに変更。
- 移動速度:4.73→3.94に減少。
- 移動速度を増加させる新アップグレード:移動速度を4.73に増加、100/100、研究時間100s
- Lock Onの仕様変更
- ダメージは通常攻撃のダメージを使用する。アーマーを無視することはなくなる。
- 一発目のディレイがなくなり、発動中は通常攻撃のクールダウンが維持される。
- クールダウンが無くなる。
- キャスト射程:7→6に減少、最大射程:15→9に減少
- 複数のサイクロンがオートキャストで同じターゲットをLock Onできるようになる。
- Mag-Field Acceleratorのアップグレードを削除。
この変更は、Cycloneをより全マッチアップで活躍できるオールラウンドなユニットにするためのもので、vPでのメックプレーの有用性を上げることも目標としているとのこと。
基本性能を下げるかわりにコストを下げ、リアクターで同時生産できるようになることで、コアユニットとして数を出していけるような仕様になっています。
バイオ構成に混ぜても強そうですし、特にリアクターを付けがちなvZの序盤の防衛にもかなり役立ちそうです。ローチ/ラベジャー系ラッシュに気づいてからこっちを作れるのはかなり強そうです。
テランのユニット構成を大きく変えるユニットになるポテンシャルがある変更案ではないでしょうか。
ただ、元々特定の役割を持った尖ったゆにっとをオールラウンドユニットに作り変えることについては批判の声も少なくありません。どうなるでしょうか…
Ghost
EMP Roundの範囲減少は、プロトスがPsionic Stormを活用しやすくし、直接戦闘でも戦いやすくするための変更、
Steady Targetingの変更は、ZealotやRoachをワンショットできなくなるだけでなく、Ultraliskを倒すのにも1発多く打つ必要があり、レイトゲームにおける有用性を下げるためのものとのこと。
それでいて、Viperなどのスペルキャスターに対する攻撃力は下げないような変更になっています。
vZ、vPともに有用性が落ち、特にマスGhost構成が終盤の定石となっているvZでは大きなインパクトがありそうです。
Widow Mine
- Drilling Clawsにより、地面に出てくる(アンバロウ)速度も2倍早くなる。
- ターゲットラインがより見やすくなる。
Drilling Clawsで失われたWidow Mineマイクロの強さをすこし復活させるとともに、マインドロップの強さを著しく上昇させることが無いような調整意図となっています。
ターゲットラインが見やすくなれば、Oracleらが避けることもやりやすくなりそうですね。
Medivac
- Rapid Reignition System(スピードアップ研究)を削除する。
- 新研究:Caduceus Reactor:エナジーの回復速度を100%増加させる。(コスト:100/100、研究時間53.57s、Fusion Coreでアップグレード)
- ミニマップにおける半径:0.75→1に増加。
(誰も使っていない)現在の研究を削除し、Medivacのエナジーが切れてしまうような活発な試合で使われるような研究に置き換える意図です。
WoL時代にも同じ名前の研究があり、Medivacの初期エナジーを上げる、というものでした。(誰も使っていませんでした)
HotSのベータ時代には、同じ名前の研究でMedivacの回復速度が上がり、回復の色が青くなる楽しい研究があったので一瞬期待しましたが、それとは全く違うものになりましたね。
ミニマップサイズが大きくなることで、ドロップなどを気づきやすくなります。これはOverlord、Warp Prismにも同様の変更が入ります。
Raven
TvPにおいて1体だけRavenを出す形からのプッシュがプロトスのキーユニット(Colossusなど)を止めることができ、非常に強力になっているのを是正するための意図となります。
Ravenの生産時間は34sのため、同じことをするには20秒ほど待つか、研究しながら2体目を作るかの選択を迫られることになりますね。どっちにしろプッシュタイミングが遅れます。
研究コストを安くしたのは、vTにおける複数のRavenを使ったプレーや、vPでも専用に組まれたビルドが使えるように、とのことです。
Hellbat
- アップグレードによるダメージ増加:+2(+1 vs light)→+2に減少。
これまでは+3アタックとInfernal Pre-Igniterが入ったHellbatはZerglingをアーマーアップグレード状況に関わらずワンショットできましたが、
Zerglingに+2アーマーが入っていればワンショットできなくなります。
ザーグの変更案
Lurker
- Adaptive Talonsの移動速度上昇効果を削除。
- Adaptive Talonsのコスト:150/150→100/100に減少。
Lurkerの敵であるGhostやDisruptorのナーフに伴い、Lurkerの再配置のスピードをナーフする調整です。
vP、vZともにレイトゲームでハラスに防衛に突撃にと使われる強力なユニットですので、移動速度の減少はある程度のインパクトがあるのではないでしょうか。
Infestor
- Pathogen Glandsアップグレードを削除。
- Infestorの初期エナジー:50→75に増加。
- Fungal Growthのキャスト射程:10→9に減少。
- Fungal Growthのダメージ:30→25に減少。
Infested Terran削除以降、Infestorは75エナジーになるまでただのイモムシでしかない現状があるため、出てきてすぐにPathogen Glandsが打てるようにするための変更です。
その代わり、でもありますし、GhostのEMP Roundナーフとのトレードオフとして、キャストレンジが減少し、Marineが連続2発のFungal Growthで死なないようなダメージになっています。
Spire
- エアアーマーアップグレードのコスト:150/150、225/225、300/300→100/100、175/175、250/250(エアアタックアップグレードと同じ)に減少。
エアアーマー研究はエアアタック研究よりも有効性が低いとされているにも関わらず、コストが高かったことを是正する調整です。なんでアーマーのほうが高かったんだろう?
Viper
Viperのエナジー吸収時に必要な注意を減らすための変更です。燃費がよくなりましたね。
Brood Lord
前回のパッチの流れを組み、Brood Lordの機動力を上げることで、レイトゲーム登場時によりアクティブなプレーができるように、という意図です。
その代わりとしてBroodlingのほうをナーフしています。ちなみにこれは建物が割れた時に出てくるBroodlingには適用されません。
Overlord
- 減速度(でいいのかしら):1.49→2.28に減少。
- クリープ生成開始時のディレイ:1.43→1.07に減少。
(Mutate Ventral Sacs時=ドロップロード時)
- 移動速度:0.9023→1.099に増加
- 25pxPneumatized Carapace研究時の移動速度:2.62→2.83に増加
ドロップロードの強化により、ドロップ自体をもっと使って欲しいという意図があります。Banelingをあわせてナーフしているので、vPで強くなりすぎることはないという判断のようです。
Ultralisk
- 生産コスト:300/200→275/200に減少。
- Burrow/25pxUnburrowにかかる時間:1.43→0.89に減少。
Ultraliskはレイトゲーム時、コストに対する有用性が高くなく、レイトゲームではLurkerやBrood Lordが好まれることから、ロングゲームでより使いやすく、それでも安くなりすぎないように、という意図の変更です。
バロウ/アンバロウ速度アップはランバイ時に活きそうですね。全パッチで小さくなったことに続き、より使いやすくなっています。
Hydralisk
- Muscular Augments(移動速度アップ研究)の研究時間:71s→64sに減少
- Grooved Spines(射程アップ研究)のコストと研究時間:100/100&71s→75/75&50s
中盤にHydraliskがフルスペックになる速度を速めることで、敵のエアスイッチ(Mutaliskなど)に早く反応できるようにすることと、
地上軍に対してはBanelingがナーフされることの埋め合わせの意図があるとのことです。
Baneling
- アップグレードごとのボーナスダメージ:2(+2 vs Light)→2(vs All)に減少。
- Centrifugal Hooksのコスト:100/100に減少。研究時間:79s→71sに減少。
- Centrifugal HooksのBanelingへの体力ボーナス:削除
この変更の最も大きな意図として、これにより+2アタックが入ったBanelingがProbe(Droneも)を1匹で倒すことができなくなります。
コロコロと1体転がってきたBanelingによってワーカー10以上が消し飛んだ…というプロトスにとっての悪夢がなくなりますね。
中盤におけるマスベイン構成、やベインランバイの有用性をさげることが意図で、そのかわり研究コストを安くし時間も短くすることで、2ベーステランの攻撃への対処に影響がでないようにしたいようです。
BanelingはvTのコアユニットでもありますので、体力ボーナスの削除がどう影響してくるかが気になるところです。
プロトスの変更案
Forge
- シールドアップグレードのコスト:150/150、225/225、300/300→150/150、200/200、250/250
シールドアップグレードはアタック/アーマーアップグレードよりも有用性が低いため、コストを安くすることでコストと有用性のバランスを取る意図があるとのことです。
Cybernetics Core
- エアアーマーアップグレードのコスト:150/150、225/225、300/300→100/100、175/175、250/250(エアウエポンと同等)
エアアーマーアップグレードはエアウエポンよりも有用性が低いにも関わらずコストが高いため、エアウエポンと同等にすることでコストと有用性のバランスを取る意図があるとのことです。
Warp Prism
- ミニマップ上の半径:0.875→1に変更。
Medivac同様の意図での変更です。
Disruptor
- サプライ:3→4に増加
- モデルスケール:9%減少
- ユニット半径:0.5→0.625に増加(建物との判定には影響なし)
現在複数のDisruptorが重なって存在している場合、どれがPurification Novaを打っているのか?が分かりづらいことを是正するためのユニット半径の変更です。
サプライコスト上昇は、マスディスラプター構成のポテンシャルを下げつつも、中盤および終盤の強力なツールとしてプロトスプレーヤーが利用できるように、との意図のようです。
vT、vZともに強力なAOEとして多用されているDisruptorですが、登場当初から、一瞬で大量のユニットが消し飛ぶユニットデザインに批判があったのも事実でした。
前回のパッチにおける範囲減少に続いてのナーフで、あまりこのユニットに依存する状況は好ましくない、とBalance Counilには考えられているようですね。
とはいえプロトスとしてはこのユニットに依存せざるを得なかった状況だったわけで、GhostやBanelingなどが弱体化する中で、このユニットへの依存度が下がるかどうかが注目です。
Void Ray
- Flux Vanes研究が入った状態でのPrismatic Alignment使用時の速度:2.62→2.89に増加
元々Flux Vanes研究が入った状態でのPrismatic Alignment使用時の速度は2.89(未研究時と同様)でなければならなかったところ、バグにより2.62になっていました(マジかよ!)
これを是正するバグ修正となります。
Tempest
- 加速度/減速度:2.1→4.2に増加
- 半径およびモデルスケール:10%減少
Tempestのマイクロの感触を改善するための変更です。スピードこそ変わらないものの、キビキビ動くようになります。
Mothership(リワーク)
- 生産コスト:400/400→300/300に減少
- サプライ:8→6に減少。
- 生産時間:114s→79sに減少。
- 移動速度:2.62→2.83に増加。
- 横加速度(ユニットが移動中に方向を変える際の加速度):1.925→2.88に増加
- 体力およびシールド:350/350→250/250に減少
- ユニット半径およびモデルスケール:10%減少
- エナジーを削除。スキルはすべてクールダウン制になる。
- Mass Recallの仕様変更。89sのクールダウン、リコール半径:6.5→5に減少
- Time Warpの仕様変更。60sのクールダウン、スロー:50%→40%に減少、半径:4→3.75に減少、キャストディレイ:1.79→0.71に減少
- 25pxCloak Fieldはパッシブアビリティではなくなる。アクティブアビリティになり、継続時間20s、50sのクールダウン。
Mothershipのコストを減らし、小さく移動しやすくし、EMP Roundにハードカウンターされることがないようにする変更です。
全マッチアップに対して早いタイミングでのマザーシップビルドが使えるようになり、マザーシップがより多く活用されることを期待しての変更となります。
小さくなることでViperにも引っ張られにくくなりますし、Carrierよりも安いので、2ベースで強引に出していくビルドなども使われるようになるかもしれません。
2ベースで出し、フラフラと相手ベースに飛んで来て、全軍をリコールで連れてきて、坂にForce Field…のような魅せプレーも期待できるかもしれませんね。
Sentry
Ghostがいるテラン軍に対し、事前に使って戦闘を開始することをやりやすくするための変更です。
Oracle
ユニットがStasis Wardに反応する半径が4ですので、Stargateオープニング時、よりObserver的に使用することができるようになります。
Immortal
現在のBarrierはGhostのEMP Roundを食らった場合、シールドが吹き飛ぶ→バリアー発動 という順序になりますが、通常テランはEMPを先に打ってから戦闘を始めるため、
バリアーの効果時間が2秒しかないこともあり、戦闘は効果時間が終わってから…という状況になることがほとんどでした。
今回の変更により、1発目のEMP Roundをまるまるブロックする(バリアーは100ダメージ吸収なので、それでバリアーの効果は切れる)ことになり、
中盤以降のテランとの戦闘時の生存力を著しく上げることとなります。
遊び方
PTRサーバーでの実装ですので、Blizzard APPのゲームバージョンで「パブリックテストサーバー」をインストールして遊んでみてください。
新マップ
ウィンターシーズンに向けた新マップの登場も予定されています。すべてTLMC#18に投稿されたマップです。
マップが全部で9個あるのですが、2つ削れるのか、それとも9つ全てマッププールになるのかはまだ不明です。
- Goldenaura LE
- Site Delta LE
- Oceanborn LE
- Hecate LE
- LE
- Hard Lead LE
- Black Lotus LE
- Alcyone LE
- Radhuset Station LE
なお、2vs2、3vs3、4vs4のマッププールも変更されています。新マップではなく、過去に使用されていたマップのローテーションになるようです。
まとめ
待ち望まれたパッチでしたが、想像よりもかなり大規模なものが出てきました。メタに大きな影響を与えるパッチになりそうです。
プロシーンで苦戦しているプロトスがより戦いやすくなるような調整が多く見られますが、Cycloneのリワーク、Hydraliskの強化あたりはプロトスにとっては脅威になるかもしれませんね。