20/8/7 バランスアップデート案が公開されました。

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Summary

詳細

半年ぶりに入ったバランスアップデートから2ヶ月、GSLやDreamhack Summerなどいくつかの大会が終了し、その評価も少しずつ定まって来たようです。
ザーグNerf、プロトスBuffがメインの調整でしたが、GSL S1ではザーグが早々に全滅。プロトスも大きな活躍はなく、テランが躍進する結果になりました。
一方でSeason1 Finalでは(いつものように)Serralが優勝。GSL S2でもまたザーグがいい結果を残し始めています。
そういった状況に合わせて、次のバランス調整案が公開されました。すでにBalance Test Modにも変更が実装されていますので、ぜひ皆さんも遊んでみましょう。

各マッチアップへのバランスチームの考え

今回のバランス調整案のベースとなる、バランスチームの各マッチアップへの考えをまとめていきます。もしかしたら今後のアップデートのベースになるかもしれませんね。

TvZ

  • Zのナーフ(Queen,Baneling)により心配していたものの、マッププールの影響と相殺されたようだ。、
  • 現在のTvZは多様性がありダイナミックで、過去最高クラスに多くの戦略がお互いから出てきており、今後どう発展して行くか楽しみだ。
    • 特にメック人気の上昇やBattlecruiserからのバイオ、Lurkerを用いたプレーなど。

前回懸念していたメック人気の低下も改善され、このマッチアップには満足しているようです。

TvP

  • TvPについての主なフィードバックはアーリーゲームのものである。
  • 早いSiege Tankを用いたプッシュはBattery Overcharge.jpgBattery Overchargeにより弱体化され、プロトスがBlink.pngBlinkStalkerをメインにすることが多いのもあってか、Armoryを早めに建ててのWidow MineHellionを用いたオープニングなどが見られるようになった。
  • 序盤が互角であればそれ以降も互角に感じられ、お互いにできることがたくさんあると考えている。このマッチアップもまた発展を待ちたい。

このマッチアップにも大きな懸念は抱いていないようですね。

PvP

  • Battery Overcharge.jpgBattery Overcharge実装後、このマッチアップは週毎に発展しているように感じている。
  • 安定の2GW Opening以外に1GW expandやNexus Firstなどの内政オーダーを取るプレーヤーも出てきた。
  • プロキシRobotics Facilityの使用率は減ったが、Battery Overcharge.jpgBattery Overchargeがどれほど寄与したかは明確ではない。この戦略を死滅させたいわけではないので、注視していきたい。
  • Battery Overcharge.jpgBattery Overchargeが拡張を守りやすくなったこともあり、Blink.pngBlinkStalkerオーダーをよく見るようになった。Archon/Immortal/ChargelotオールインのディフェンスにもBlink.pngBlinkStalkerが役立っているようだ。
  • 拡張しやすくなったこともあり、CarrierDisruptor,Tempestも出てくるレイトゲームPvPを見ることが多くなった。結果として素晴らしいPvPがプレーされていると感じる。

Battery Overcharge.jpgBattery Overchargeがこのマッチアップを改善できたと考えているようですね。一方でまだこのマッチアップが「安定」したわけではないとも述べています。

ZvP

  • 前回パッチでの変更(Oracle,Baneling,High Templar)はある程度役立っているようだ。
    • OracleRevelation.pngRevelationの効果時間が短いことにより、レイトゲームで難しくなったというフィードバックがある。
    • High TemplarFeedback.pngFeedback射程アップにより、Viperへの対処がある程度行えるようになった。
    • Banelingの変更はあまり役立っていないというフィードバックが多い一方で、Korean ProtossでStalker/Robotics Bayユニット構成の増加が見られたという意見もあった。
  • とはいえ前回パッチでの変更はPvZの勝率改善に大きくは寄与せず、プレーヤーからのフィードバックもBanelingのハラス/戦闘ユニットとしての効率の良さ、Creep処理の困難さと変わっていない。もう少し推し進める必要があるようだ。
  • レイトゲームZvPに関して以下のように考えている。
    • Feedback.pngFeedbackの変更以降、プロトスレイトゲーム軍 vs ザーグレイトゲーム軍の直接的な関係という観点では、どちらかに偏っていないと考えている(Pが有利だと言うプレーヤーがP,Z両方に存在する)。
    • しかしプロトスが不利と捉えられてしまうのは、厳しいハラスや伸びるクリープ、クリープ上でのBanelingの防衛能力などにより、P側がZとイーブンな状態でレイトゲームに到達するのが困難だからだと考えている。
    • この状況に対してのアプローチとして、インパクトがある変更を入れるならミッドゲームであること、終盤を調整するとしても典型的なプレー方法に改善を与えるようなものであることの2つを大事にしたい。
    • Pに強力なレイトゲームの直接戦闘力を与えれば勝率は改善するだろうが、過去このマッチアップで見られたような膠着やタートルプレイを助長しかねないため、望ましい方向ではない。
    • プロトスに追加のツールを与えることで、P,Z間のインタラクティブ性が上がるような調整を行いたい。

今回最も力を入れて書かれているのがこのZvPの項目です。あくまで抜粋なので、興味がある人はしっかり本文を読んでみてください。
現状PvZはトリッキーな動きが主体となっているような感覚があり、あまり健全ではないように感じる人が多いようです。このマッチアップの改善はプロトスの復権に繋がると思うので、今回の変更案と合わせて期待したい所ですね。

バランス調整案

上記のバランスチームの各マッチアップへの考えを踏まえたバランス調整案は以下の通りです。

ザーグの変更案

Baneling

  • 攻撃によるダメージ:18(+17 vs Light)→15(+20 vs Light)に変更。

前回の変更で20(+15 vs Light)から18(+17 vs Light)になりましたが、この変更があまり大きなインパクトを産んでいないというフィードバックから、更に推し進めることになったようです。
TvZへの影響を最小限に抑えるためMarineへのダメージは今回も変更無し。ZvPを主な目的とした変更であることが伺えます。
この変更が入れば、最初の20(+15 vs Light)の時に比べ、+2アタックが入ったBanelingImmortal/Archonを倒すのに4体、[[Stalker]を倒すのに2体多くのBanelingが必要になる計算です。


プロトスの変更案

Oracle

  • Revelation.pngRevelationの効果時間:15s→20sに増加。

前回コストを下げる代わりに短くなった効果時間を少し伸ばす変更案です。レイトゲームZvPにおいてこのスキルを使いやすくするのが主な目的となります。

Void Ray

  • 生産コスト:Minerals.gif250/Vespene-terran.gif/150→Minerals.gif200/Vespene-terran.gif150に減少。
  • 生産時間:43秒→37秒に減少。
  • 移動速度:3.5→3.85に増加。

開発チームいわく、現状このゲームで最も使われていないユニットであるVoid Rayくん。初心者戦やチーム戦では貯めれば強いものの、プロシーンで見ることはラッシュディフェンス時などくらいしかありませんね。
ということで、プロトスが苦しんでいることを解決できるニッチを与えようというのが今回の変更の意図になります。2体のOracleを出したあとの「3体目のユニット」としての役割を提供したいようですね。
PvZではOverlord狩りやCreep処理、Banelingドロップ処理などへの有用性を期待しており、そのためのコスト生産時間減、移動スピード増加となります。
PvTでもBanshee対策やPvPではプロキシロボラッシュディフェンスにも期待しているとのこと。アマチュアからすると、1ベースラッシュに使われるのが少し怖いですが・・・。

  • Flux Vanes.jpgFlux Vanes(移動速度アップ研究)研究後の移動速度:4.65→5.11に増加。

この変更は上記の基礎移動速度変更とはまた違う意図で、レイトゲーム構成のサイドアームとしての役割を期待しているようです。
ダイナミックで面白い試合を演出するレイトゲーム構成は往々にして以下の2種類のユニットで特徴づけられると開発チームは考えています。
1つは直接戦闘力を担うSiege TankLiberatorBrood LordLurkerCarrierColossusのような遅いユニットと(Lurkerは遅く無い気もしますが、概念的な問題でしょうか)
ハラスやポークに長けて直接戦闘もできる、バイオ構成やCycloneZerglingBanelingZealotやブリンクDark Templarなどの速いユニットです。
各マッチアップにおいて、このサイドアーム的な役割が最も弱いのがPvZにおけるプロトスだと開発チームは考えており、Void Rayにその役割を担ってもらうのがこの変更ということになります。
具体的にはHyperfight Rotors.pngHyperfight Rotorsが入ったBansheeより少し遅いくらいのスピードです。

Carrier

  • Neural Parasite.pngNeural ParasiteされたCarrierに属するInterceptorが、Carrierの元々のオーナーのユニットから攻撃を受けなくなる。

あまりこういうシーンは見られなくなりましたが、一応Neural Parasite.pngNeural Parasiteのナーフということになるでしょうか。一緒にInterceptorまで乗っ取られるのはおかしいと思う反面、Carrierから間違った攻撃命令が出ていると考えれば別に問題ないような気もしますが・・・。

Tempest

  • Fleet Beaconでの新研究:Tectonic Destabilizers
    • 効果:Tempestの攻撃に(+40 vs Structure)のボーナスダメージが付く。
    • コストはMinerals.gif150/Vespene-terran.gif150、研究時間100秒。

研究もスキルもないシンプルなユニット(ベータ自体一瞬スキルありましたよね)ですが、新しく研究が付く案です。
基本的にはいわゆる「Spore Crawlerの森」を突破するため、攻城能力を増強するための研究となります。
Void Rayくんに隠れていますがわりとTempestくんも見かけないので、これで目にする機会が多くなるでしょうか。
PvTのプロキシTempestが強くなりすぎないようにこの仕様にしたとのことですが、十分強いような・・・。

まとめ

全体的に見るとザーグがややnerf、プロトスに大幅Buffという調整案ですね。
ザーグはまたnerfなのでザーグプレイヤーとしてはげんなりしてしまっているかもしれません・・・。SerralやReynorを恨むべきなのでしょうか。
個人的な意見として、Z,Tはどのユニットもある程度活躍の場があるのに対し、PはTempest/Void Rayを見かけることがかなり少なく、そこもプロトス不遇の時代に繋がっているのでは?と考えていたので、
今回のエアユニットへのテコ入れは興味深く思っています。
GSLレギュラーシーズンのプロトスの優勝はなんと2017 Season1まで遡りますし、海外プロトスもNeebが絶好調だった2017以降ほとんど存在感を出せていない状況。
aligulacの「各種族トップ5プレイヤーが他種族に比べてどのくらい強い/弱いか?」を示す数値も、2018年5月からずっとプロトスが最低となっています。
この調整案がプロトス復権に繋がるといいですね。
ただあくまでこれは「調整案」なので、ライブ環境に実装されるかどうかは未知数です。されたとしてGSL S2終了後になるでしょう。Dreamhack Fall本戦開始前くらいを想定しているのではないでしょうか。
Balance Test Modで既に遊べるので、みなさんも試してみましょう!

5.0.2パッチについて

ついでもいいところですが、5.0.2パッチも入っています。
https://starcraft2.com/en-us/news/23495670
Co-opコマンダーのTycusのプレステージタレントに調整が入っている他、
10周年記念のキャンペーン実績が獲得できないバグも修正されているようです。