24/3/26 5.0.13パッチにてバランスアップデートが適用されました。

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Summary

前回のパッチについて

昨年9月のパッチにおいて、PvTの改善をはじめとしたいくつかの目的が提示されましたが、
残念ながらプロトスの大会におけるパフォーマンスはあまり改善されず、IEM Katowiceでもプロトスはベスト8に残ることができませんでした。
それらも踏まえて、バランス評議会(Balance Council)が前回のパッチに対していくつかコメントを出しています。全文はこちら→https://rentry.co/5013balancetest

バランス評議会のコメント

  • 前回パッチ(5.0.12)ではあまり積極的にコミュニケーションできなくて申し訳ない
  • 前回パッチの目標の一部は達成されたが、PvTの対戦に関連した目標はまだ達成できていない
  • 特定の変更、特にサイクロンの変更はTvTにおいて意図しない結果に繋がった。再検討が必要かもしれない
  • 今後は改善のためにより慎重なプローチを取り、少ない目標に注力していきたい
  • 評議会に参加しているプロプレイヤーは、TvZおよびPvZには大きなバランス変更は必要ないと考えている

バランスアップデート内容

これを踏まえて、ESL SpringやE-Sports World Cupを控えた今、新しいバランスアップデートが適用されました。

バランスアップデートの目的

  • プロレベルのPvTの状況を、主にテランユニットを変更する形で改善する。

  • Cycloneオール・インやWidow Mineドロップなどの抑圧的なオープニングに対するコミュニティからの懸念に対処する

  • QoL変更を入れつつ、マップメーカーから提案された小さな変更を入れることで、マップデザインに自由度を与える

テランの変更

Liberator

プロトスがレイトゲームPvTにおいて、大量のアップグレード済みLiberatorへの対処に苦労していることが調整の主因です。
加えて、ハラスに用いられた際、マップの地形によっては地上軍での対処が難しいケースがあるため、それを減らすことでマップ作成の自由度をあげるという意図もあるようです。

Widow Mine

  • リロード中に姿を見えなくするためには、ArmoryではなくDrilling Claws.pngDrilling Clawsが必要となる。
  • スプラッシュダメージの範囲:1.75→1.5に減少。
  • 敵ユニットに当たる範囲でバロウする際、アタックアラートが敵に通知される(既にバロウしているWidow Mineの範囲内に敵が来た場合にはこの通知は無い)
  • ターゲットラインをかなり見やすくする。(元記事にgif動画があります)

登場以降、コミュニティから常にあがり続けてきたWidow Mineドロップの強さに対するフィードバックに対応するための変更です。
まずダメージ範囲を減らすことで最大ダメージを減少させつつ、
リロード中のクロークをDrilling Claws.pngDrilling Clawsに移すことで、ArmoryでクロークしたWidow Mineが複数ベースに落とされて見えずに試合が終わるケースを減らし、
アラートを出し、ターゲットラインをより見やすくすることで、カウンタープレイを増やしたい、という意図があるようです。
この調整が入れば、Widow Mineドロップの脅威度はかなり落ちることになりそうです。
元々PvTのバランス問題に関わらず、Widow Mineドロップで試合が終わることを好まない声は多く上がっていましたので、そういった声に応えた形となります。
ただドロップではなく、TvPにおけるZealotへの有用性や、TvZにおけるAOE要因としての有用性も落ちてしまいますので、そこはかなり心配です。
以前HotS時代にWidow Mineのスプラッシュダメージが減ることでテランの暗黒期を招いた例がありますので、そうならないと良いのですが…

Armory

  • 建築コスト:Minerals.gif150/Vespene-terran.gif100→Minerals.gif150/Vespene-terran.gif50に減少。

Widow Mineのクローク解除建物では無くなるので、安くしてバランスを取ろうという意図でしょうか。2-2へのアップグレードをスムーズに進めるための意図もありそうです。

Engineering Bay

  • 歩兵の攻撃/アーマーアップグレードコスト:100/100 175/175 250/250→100/100 150/150 200/200に減少。

ミッドゲーム以降にスムーズにアップグレードを入れられるようにするための変更です。Widow MineLiberatorのナーフの埋め合わせでもあるとのことです。

Cyclone

  • 攻撃のクールダウン:0.48s→0.58sに増加
  • Lock On.pngLock Onのクールダウン:0s→2.86sに増加
  • 武器にturret trackingが導入され、ダメージポイント:0.119→0.036に減少。
  • 体力:110→130に増加。
  • 移動速度アップグレード「Hurricane Thrusters」の名称:「Hurricane Engines」に変更(Cycloneにスラスターが無いため)

前回の変更でCycloneは全マッチアップで活躍できるオールラウンドなユニットに変貌しましたが、
それより(前回のパッチで安定させたかったはずの)プロトスの序盤を脅かす結果となってしまいました。
E-Bayブロックで他にベースを建てさせてからの早いCycloneの強さや、HellionドロップとCycloneプレッシャー、全く異なる2つの強力な戦術が偵察で見分けが付きづらい点などです。
またTvTにおいては序盤のCycloneが強すぎ、Cyclone vs Cycloneの地獄が多く観られるようになってしまいました。
これらを是正するための変更となります。
DPSを下げてLock On.pngLock Onにクールダウンをつけることで序盤の脅威度を下げつつ、体力を上げることで継戦能力は上がります。
なおもしこの変更で特に状況が変わらない場合は、リワーク以前のCycloneに戻すことも検討しているようです。

Raven

  • Interference Matrix.jpgInterference Matrixは既にInterference Matrix.jpgInterference Matrixにターゲットされている/効果を受けているユニットには撃てなくなる。

「Rapid Fire」でInterference Matrix.jpgInterference Matrixを使いやすくするかわりに、同じターゲットに重ねがけできないように変更されています。
Rapid Fireで連打された際、同じターゲットに無駄撃ちされなくなる、という理解でいいのでしょうか。


プロトスの変更

Sentry

  • ダメージ:6→6(+4 vs Shields)に変更。
  • Light属性を削除。

これは主にPvP改善のための変更です。Light属性を取ることでAdeptOracleに対して固くなり、またダメージも増やすことで、Sentryオープニングをやりやすくしたいようです。

Pylon

  • 視界:9→10に増加

地味ではありますが、メインベース内やマップ中に散らしたPylonが見える範囲が広くなるのは、ドロップやランバイに対して強くなるでしょう。

Observer

  • 生産時間:21.4s→17.9sに減少
  • 体力/シールド:40/20→40/30に増加
  • モデルサイズを10%増加&Surveillance Mode.jpgSurveillance Modeのアニメーションスピードを75%増加

特にPvTの序盤において、プロトスの偵察能力を増やすための変更です。ディテクターが無い時にもありがたいですし、Robotics Facilityを戦闘ユニットのために動かす時間も増えます。
また、シールドの増加により、Widow Mineの範囲ダメージで落ちなくなります。Widow Mineを落とすために向かわせたら、Probeと一緒に落ちた、という悪夢のようなケースが少なくなります。もちろん直撃の場合は落ちますのでご注意を。

ザーグの変更案

Hatchery/Lair/Hive

  • クリープが伸びる半径:12→13に増加

これはマップメーカーからの要望に応えた変更とのこと。ZvZにおいてセカンド前を封鎖する際に、地形によってはクリープが届かずに封鎖しづらいケースを減らし、セカンド周りの地形の自由度を増やすためのものです。

Infestor

  • Fungal Growth.pngFungal Growthのキャスト射程:9→10に増加。
  • Burrow.pngBurrow中の視界:10→8に減少。
  • Unburrowにかかる時間:0.357s-0.714s→0.625s-0.714s(ランダムディレイを含む)に増加。
  • バロウ移動中のビジュアルエフェクトサイズを増加。

IEM Katowice決勝のSerral vs MaruにおいてもSerralがバロウインフェスターのFungal Growth.pngFungal Growthを効果的に使用していましたが、それを若干ナーフする変更です。
バロウ移動中のRoachと比べてバロウ移動中のInfestorのエフェクトは見づらく、またRoachと異なり単体で行動するため、テランが気づくのはほぼ不可能でした。
ビジュアルエフェクトを大きくすることでテランが気づきやすくなるほか、バロウ中の視界減少、アンバロウにかかる時間が少し増えることも合わせて、バロウインフェスターのパワーを少し削ぎつつ、
Fungal Growth.pngFungal Growthの射程を以前の10に戻すことで、通常のインフェスターに強さを戻したい意図があります。

Overlord

前回のパッチで輸送Overlordを使いやすくしたものの特に状況に変化はなかったため、移動速度を上げることで、前回のBanelingのナーフで失ったハラスの強さを少し戻したいという意図です。

マップの変更

  • ワーカーユニットの攻撃の射程:0.1→0.2に増加。

これは建築中のSCVを攻撃しにいったワーカーユニットが、そのSCVを見失って攻撃をやめてしまうことを減らすための変更とのこと。

  • ワーカーユニットの内部半径(地形や建物とのコリジョンに使われる)→0.375→0.3125に減少。

これにより、「ワーカーのみ通れる道」を作ることができるようになるとのこと。

Workerpath.gif


  • 「Zerg Rocks」がオフクリープでHPを失うようになる。

これにより、「時間経過で壊れる岩」が作れるようになるとのこと。

Zergrock.gif


  • ミネラルフィールドが破壊可能なRock Towerで壊せるようになる。
Mineralbreak.gif

その他バグ修正・QOL変更

たくさんあるので原文を御覧ください。一部抜粋


新マップ

新しいマッププール5つが公開されています。新マップは以下の5つです。

また、以下の4マップは続投となります。


なお、2vs2、3vs3、4vs4のマッププールも変更されています。過去に使用されていたマップのローテーションです。

まとめ

プロトス苦境がかなり長く続いている中、なかなか思い切ったバランスアップデートが適用されましたね。
プロトスにとってはかなりありがたいバランスパッチなのではないでしょうか。PvTの序盤は今までよりかなり安定しそうですし、レイトゲームも若干プレーしやすくなっています。
Widow MineというvP,vZに多く使用されるユニットがナーフされることでテランがどうなるかは注目ですね。
Widow Mineドロップという、プロに関わらず一般プレイヤーからも嫌がられていた戦術がナーフされることは、アマチュアにとっても遊びやすくなりそうです。