8/14 マルチプレイヤーユニットの大規模変更案が公開されました。
Summary
- http://us.battle.net/sc2/en/blog/20241474/legacy-of-the-void-multiplayer-design-changes-8-14-2016
- 動画での比較も元ページにはあるのでそちらもご参照ください。
- 大規模変更案というだけあって拡張版を除けば最大の変更規模になっています。
- 全種族変わっていますが、実際の適用までには今後もテストを続けていくようです。
- 予定では今年の大会シーズンが終わる11月以降に適用するとのことです。
詳細
変更案
変更案は以下のとおりです。(8/14公開時の変更案です。既にその後の調整で数値が変わっているものやスキル自体がなくなっているものもありますので注意を)
Terran
Terranの変更は主に「メック」構成を再び有効なものにすることに重点が置かれています。
Wol,HotSではメック構成はvT,vZともに有効な構成でしたが、Lotv以降新ユニット・仕様の追加やエコノミーの変更によりメックはvT,vZともに厳しい構成となっていました。
あまりにもバイオ偏重になったことを問題視する声も多かったため、メックユニットのデザイン変更を行いたい意図があるようです。
Cyclone
- 攻撃力が3 (+3 vs armored)に
- 攻撃間隔が0.07に
- 射程が5から6に
- アップグレード時の攻撃力上昇値が2から1へ
- 攻撃の名前が"Tornado Blaster"に変更
- 対空通常攻撃削除
- 移動速度が4.72から4.13へ
- ロックオンでは対空のみ、射程などの変更はなし、14秒で160ダメージ
- Lock Onのオートキャスト削除
- サプライが4から3へ
- HPが120から180へ
- tech labなしで作れる
- 通常攻撃のエフェクト変更、ロックオンの見た目は今のまま
- Mag-Field Accelerator(ロックオン時のvs Armoredダメージ増加)アップグレード削除
もともとのCycloneの「移動速度の早いメックユニット」というコンセプトはそのままに、通常戦闘能力が格段に増しています。
機動力の無さはメック構成の弱点でしたが、ヘリオンとともに高い機動力で拡張を守っていくことができるコアユニットにしたい意図があるようです。
相手がArmoredの場合対地DPSは単純計算で6÷0.07で脅威の85。Armored以外でも42と尋常ではないDPSを誇ります。
もちろん攻撃回数が多いため相手アーマーの減衰を多く受けはしますが、現状の数字ではとても強力なユニットになりそうです。しかもリアクターから作れるので数も出していけるでしょう。
対空はその代わりかなり弱体化されます。14秒で160ダメージは非常に低く、フルヒットでOracleを落とすのがやっと。対地をメインとしたデザイン変更案になっています。
しかしサイクロンの武器名がトルネードブラスター。ミニ四駆ファンがいたのかもしれませんね。
Siege Tank
- 攻撃力が35 (+15 vs armored)から40 (+30 vs armored)へ
- Medivacにシージモード中のtankを載せれなくなった
Lotvテランの目玉要素だったシージタンクのピックアップ。クールなマイクロが見れる一方で、ユニットの特徴が失われてしまったという声もありました。
開発側もそれに同意したようで、「動けないけれど非常に強力な攻撃をする」、というコンセプトを大事にするためにピックアップ機能が削除されるようです。
その代わりに攻撃力はかなり上がっています。vs Armoredは脅威の70ダメージ。メリハリのついたデザイン変更案になっています。
現状全てのマッチアップに使われているタンクバックなので、メタに大きな影響を与えそうですね。
Liberator
- 対空 vs Lightボーナス削除
後述するThorの役割を明確化するための処置のようです。vTでMutaliskが再び使いやすくなる面もありそうですね。
Thor
- 対空の範囲が0.5から0.6へ
- 対地攻撃より対空攻撃優先に
Liberatorのnerfに伴い、対空の範囲ダメージが広がり、Mutaliskなどに対抗しやすくなっています。
またExplosive PayloadだけでなくHigh Impact Payloadモードでも攻撃が対空優先になり、より対空ユニットとしての性能が上がっています。
Banshee
- 移動速度アップグレードにFusion Coreが不必要に
現状Bansheeは序盤のハラス以外あまり使われず速度アップもあまり使われていないため、より速度アップが入れやすくなります。
開発はこの変更はおそらく強すぎると感じているようで、その場合適切な変更を入れるとのことです。
Viking
- 対地モードの時、mechanicalボーナス+8追加
Vikingの対地モードをより有効的にしつつも対地モードのためにVikingは作ってほしくない ということで、このような変更案になったようです。
Battlecruiser
- エネルギー削除
- Yamato CannonとTactical Jumpはエネルギーを使わないがクールダウンが存在する
- Yamato Cannonのクールダウンを71秒へ
- Tactiucal Jumpのクールダウンを71秒へ
- エネルギーアップグレード削除
ワープもできるようになってせっかくヤマト感がましたのにまったく使われなくなってしまったBCさんですが、ここにもテコ入れが入ります。
Yamato Cannonとワープのクールダウンが別々になったことで、波動砲発射後ワープですぐに離脱といったことも可能になります。
エネルギーがなくなったのでHigh Templarにフィードバックされる心配もなし。これで使われるようになるかな???
Raven
- Auto Turretの攻撃力が16から24へ
以前はメックテランで猛威を振るったRavenですがすっかりおとなしくなってしまいました。
もうちょいマシにしたいということでダメージが1.5倍。DPSで42になります。
Protoss
プロトスはLotvですでに大きな変更を受けたためここでの変更はそこまで大きくはありませんが、テランメックをより有効にするための調整が入るとともに、
少し影が薄いZealotに居場所を模索したいという意図もあるようです。
Tempest
- サプライが4から6へ
- 対地攻撃力が30から35へ、対空は変更なし
- 対地射程が15から6へ
新アビリティ"Disruption Sphere"
- 対地としてエネルギーボールを叩き込む
- 地面の一定地点に32秒間で450ダメージ
- クールダウンは43秒
- 範囲は1.95
- 射程は13
- 味方にはダメージ無し
開発側はテランのメックがvPで有効でない原因の一つがTempestと考えているようで、それに対して攻撃力を少し上げつつ対地射程を減らすという手段を取ってきました。
これはTvPレイトゲームにTempestを貯められるとT側が厳しかった問題の解決も図っているように思います。
失われた対地の存在感は範囲DOTの新スキルでカバーしていきたい意図のようです。ゾーニングコントロール能力がどの程度なのかは試してみないとまだ分かりませんね。
また「こんな強力なユニットが何でサプライ4なの?」という声が多かったことを受けてかサプライが6に増えたため、今までのように増産は出来なくなります。対Brood Lord等にも大きく影響しそうですね。
新アビリティを手に入れた一見派手なデザイン変更ではありますが、失ったものも大きく全体的にはnerfと言っていいのではないかと思います。
ちなみに「Disruption Sphereは、ミネラルラインへのハラスに効果的すぎて、しかも簡単かつ安全に行えすぎるのではないか?」と危惧する声が上がっていますが、果たしてどうなるでしょうか。
Zealot
- チャージ研究終了時の移動速度が3.85から4.13へ
Lotvではゲートウェイユニットの主役をAdeptに奪われてしまった面があるため、ここにテコ入れが入ります。
移動速度上昇で引き撃ちしてくるユニットに強くなるほか、ハラス性能も上がることを開発側は見越しているようです。
Carrier
- Release Interceptorを削除(一定地点に全Interceptorを置いてくる奴)
- Interceptorのコストを25から5へ、Interceptorの自動作成は最初からOnに
開発側はRelease Interceptorスキルをあまり面白いものではなかったと考えているようで、ここを削除する代わりに、Interceptorのコストを下げて
より楽に生産できるように変更されました。生産速度が上がるわけではないため、どの程度の影響があるかはテストしてみないとまだ分からないでしょうね。
Dark Templar
新アビリティ"Shadow Stride"
- 短距離テレポート(Blink)
- 開発はDark Shrineで行う。
- コストは150/150、開発時間は121秒
- クールタイムは21秒
- DTがBlinkすると移動地点に煙のエフェクトが出る
Dark Templarはディテクションが無かったり少ない時には非常に強力ですが、一旦揃ってしまうとあまり仕事が出来ずArchonになってしまうだけになることが多いことから、
レイトゲーム時に存在感を増すためにこの思い切った変更案が出てきています。ただ開発はこの変更にそこまで自信があるわけではないようなので、実験的な要素としてテストしたい
意図が強いようです。多種族にとっては悪夢のような変更ですが、果たして…?
Zerg
Lotv以降様々な構成が試されているザーグですが、少しRavagerが有効的すぎるように感じているようで、色んなテックが選択できるような変更をしたい意図があるとのこと。
Swarm Host
- 生産コストが150/100から100/75へ
- LocustのSwoop(空から地面に降り立つ距離)が4から6へ
全盛期の輝きを失って久しいSwarm Hostさん。開発側はLotvでの新しい役割(ハラスユニット)は悪く無いが、ユニットバランスがそれを確かめることすら許していないと考えているよう。
本当にこの役割が正しいか確かめるために、コストをごっそり落としてみることにしたようです。もしこれでもダメなら役割自体がダメということで、別の役割を持たせることになるかもしれませんね。
コミュニティではテストプレイが始まる前から既に「いくらコストを下げようとも、貧弱なLocustを43sごとに産むだけじゃ使い物にはならないだろう」とネガティブな意見が目立っています。
しかし、産卵のクールタイムを下げれば今度は、膠着状態を発生させる悪夢を再び招きかねないというジレンマに陥っています。
ZerglingやBanelingのドロップという安価かつ比較的容易なハラス手段がある以上、Swarm Hostのハラスユニットという役割を肯定する声は少ないというのが現状です。
Ravager
- 属性にArmoredが追加
なんでArmoredじゃないの?と言われることも多かったRavagerですが、LotvではRoachと合わせた構成がどのマッチアップでも非常に多く使われているため、
構成の多様性を持たせるためにRavager自身にはArmored化(これがnerfになるというのも不思議ですが)というnerfが入ります。
Siege Tankをピックアップ出来なくなるためCorrosive Bileが有効になりますが、Armored化で新しいSiege Tankからは70ダメージくらうことにもなるため、
この2ユニットの関係性がどうなっていくかは非常に楽しみですね。
Hydralisk
- 基礎射程が5から6へ増加
- "Evolve Muscular Augments"のアップグレード内容は据え置き(+1の射程と25%の移動速度上昇)
- 更に、今までのこのアップグレードの移動速度上昇はクリープ外の移動のみを助けるものだったが、他の速度上昇アップグレードと同様にクリープ上でも恩恵を受けられるように変更
強力なバフ案が出てきているこのHydralisk。開発側としてはHydraliskをザーグのコアユニットの一つにしたい意図があるようです。
射程が6(アップグレードで7)になることで撃ち合いにかなり強くなり脆さという弱点もある程度カバー可能になることに加え、
クリープ上での速度ボーナスを得ることで引き撃ちがかなりやりやすくなり、長くなった射程も合わせて防衛時にも大きな役割を果たせるようになるのではないでしょうか。
Baneling
- HPが30から40へ
Marinekingがしてみせて以来テランはすっかりBanelingに慣れてしまい、華麗なスプリットのみならず未速度アップ時のスナイプ技術も向上してきています。
Lotvでダブルリングミュータ構成が少なくなってしまったことを受けて、構成の多様化を目指すためにこの変更が意図されているようです。
Infestor
- Burrowしていてもユニット同士でぶつかる判定がある(通常よりは狭い)
- 全ての特殊能力をBurrowしたまま使用可能
新アビリティ"Deep Tunnel "
- 50エネルギー
- MAPで視界のある場所に移動する
- 移動をした際に、敵に警告音を与える
Wolの全盛期に比べるとかなりおとなしくなっていたInfestorですが、開発側はここにも(DTと同じように)実験的な変更案を出してきています。
バロウしたままのFungal GrowthやNeural Parasiteはまさに脅威といえるでしょう。Deep Tunnelはハラスに使えるのはもちろん、位置調整をして
相手の裏側から近づいてそのままFungalを当てるなどエンゲージ時にも使えるかもしれません。使うのが楽しくなりそうな変更案ですね。
Brood Lord
- 射程が11から10へ
Parastic Bombの存在もあり、BLコラプターが揃ってしまうとテランにとっては対処がかなり難しくなっています。
そこでThorに対Brood Lordの役割を持たせたいという意図から、射程が1減らされて昔に戻るようです。
ご覧のとおり、非常に多くのユニットに様々な変更が予定されています。
今週に公開されるテストマップで試すことが出来るそうなので、興味のある方は是非プレイしてみてください。