19/7/1 Community Updateが公開されました。
目次
Summary
- https://us.forums.blizzard.com/en/sc2/t/community-update-july-1-2019/1090
- 3ヶ月半ぶりのCommunity Updateが公開されました。
- シーズン中に行うにしてはかなり大きい変更案が出ていますが・・・?
詳細
ココ最近RedditなどではCommunity Updateを待ち望む声が多く、公開中の映画「アラジン」になぞらえてこんな画像が投稿されたりもしていました。
みんな諦めていた中、ようやくの調整案、しかもドデカイのがやってきました。今回は調整案以外にもバランスチームの最近のメタへの捉え方や
バランスそのものに対する考え方などもたくさん書いてあるので、かいつまんで紹介していきます。全文読みたい人はこちら
プロトスの強さについて
RedditやTeam Liquidのフォーラムなどではプロトスの強さに対する議論が多くなされていますが、WCS Circuitトーナメントでのプロトスはそこまでいい成績を残せていません。
その一方で韓国プロシーンではGSL ST S1からGSL S2まで多くのプロトスが上位に進出し、大きな存在感を見せつけました。
プロシーンの結果は必ずしもバランスの問題点をそのまま表すものではありませんが、開発チームとしてはTvP、ZvPに対するプレーヤーの考えは以下のようなものだと捉えているようです。
- TvPにおいては、プロトスプレーヤーがSiege Tankを使った早い段階でのプッシュが強力だと感じている反面、テランプレーヤーは試合が進むにつれてテランが厳しくなっていくと考えている。
- ZvPにおいては、ザーグプレーヤーがプロトスの多様多彩なオープニング(とそこからつながるImmortalAll-in)に脅威を感じる反面、プロトスプレーヤーはザーグのほうがレイトゲームにおいて優れていると考えている。
開発チームとしては特定の種族が特定のタイミングで他種族より優れていることは問題なくむしろ理想的だと述べてはいるものの、
現在プレーヤーが
- 種族の有利不利が入れ替わるポイントが序盤の特定タイミングにあり
- 種族が不利な立場にある時になんとかするための選択肢が少ない
と捉えていることは問題だと考えているようです。
これに伴い、今回新しい試みとして2セットのバランス調整テストを行うことになりました。1セット目(今回)はより実験的なもの、2セット目はおそらくもう少し落ち着いた調整案になるようです。
1セット目は明日にはTestingタブからテスト可能、2セット目は7/15の週にテストが行われるようですね。
では調整案を見ていきましょう。
テランの調整案
Marine,Marauder
WoL初期の8年ほど前に今よりはるかに狭いマップで行われるTvP 3raxへの対処が厳しかったために伸びた研究時間ですが、
現在はマップも大きくなり、Stalkerの変更やAdeptやShield Batteryもあるため、当時とは状況が大きく変わりました。
テランが苦しんでいるプロトスの早いサードを咎めるための手段として伸びた研究時間を元に戻そうという調整案です。
これにより
- プロトスにとって注意すべきテランのオープニングが増える。
- テックスタートしたテランがバイオ構成に進みやすくなる。
- スティム終了までの一番弱い時間が短くなる。
といったメリットがあり、レイトゲームに進む前にテランがダメージを与えやすくなるのではないか、ということですね。
Community Updateへの記載はありませんが、ほとんどメックになってしまったTvZバイオ構成の復権にも寄与するかもしれません。
懸念としては今でも強い2ベースSiege Tankオールインがより強くなってしまう可能性があること、TvZでCombat Shieldが早く終わるようになることが影響を与える可能性があること、とも合わせて述べられています。
Ghost
- 新アップグレード:Enhanced Shockwavesを導入。
- GhostのEMP Roundの効果半径を1.5→2.0に増加させる。150/150、研究時間79秒。
テランが厳しいと考えられているTvPレイトゲームを改善するための変更案となります。
これによりGhost vs High TemplarバトルにおいてGhostがやりやすくなり、直接戦闘に置いてもシールドをはがせるユニットが増えることになります。
とはいえ強力な研究で、現状でもある程度効果的にGhostが動いているTvZにも影響を与える可能性があるため、この変更に関しては注視したいようですね。
ザーグの調整案
Infested Terran
- 対空攻撃(Infested Rockets)のダメージ:14→12に減少。
Infested Terranにアップグレードが乗るようになり、強力な対空攻撃がついた結果、レイトゲームでは全盛期のように多くのInfestorを観ることも多くなりました。
これ自体は開発チームの意図通りですが、前回の大規模アップグレードでのCarrierの変更以降Carrierが元気が無いということもあり、
Carrierを倒すのにより多くの攻撃が必要になるのがこの変更です。ZvPにおいてプロトスがレイトゲームを厳しく感じていることに対する変更案ですね。
ただこの変更はBattlecruiserを相手にするときにも当然影響するので、TvZレイトゲームにどう影響するかも気になるところです。
プロトスの変更案
Carrier
- CarrierによるInterceptorの生産時間:11秒→9秒に減少。
これもPvZレイトゲームの改善のための変更案ですね。Infested Terranの変更と合わせてどうなるか注視していきたいとのこと。
Carrierをただ貯めれば勝つ、というような状況は好ましくないかもしれませんが、現状Carrierがあまり存在感が無いため、いい落とし所が見つかるといいですね。
Nexus
前回の大規模パッチで短くなったクールダウンを元に戻そうという変更案です。(つまり、ただ範囲が狭くなっただけということになります)
このスキルの使われ方には満足しているものの、あまりにも頻繁に用いられすぎており、プロトスのすきをついた動きや多面同時ハラス・ランバイへの対処をもう少し難しくしたいというのが変更の意図とのことです。
かなり大きなnerfと言って良いでしょう。
Warp Prism
- Warp Prismは生産時にWarp Conduitパッシブアビリティを持たない、つまりWarp GateやNexusの付近にいない限り、ユニットのワープインにかかる時間が4秒→11秒に増加する。
- Gravitic Drive(移動速度アップグレード)がWarp Conduitパッシブアビリティを付与し、ワープインにかかる時間が11秒→4秒に減少する。
これはかなり大きなnerfになっています。ZvPでザーグがプロトスの序盤の多様多彩なオープニングに対処するのが難しく、その後に続くImmortalオールインのディフェンスが厳しいことに対する変更案ですね。
この問題に対しては「ザーグの偵察能力上昇」や「プロトスの序盤の選択肢の制限」といった解決策もあるものの、最初のテストセットではこの変更が試されるようです。
つまり2つ目のテストセットでは「ザーグの偵察能力上昇」が「プロトスの序盤の選択肢の制限」が試される可能性が高そうですね。
ともかくこの変更により、ザーグのディフェンダーズアドバンテージが上昇し、オールインのディフェンスが行いやすくなります。
ディフェンダーズアドバンテージは弱すぎると攻撃的な試合ばかりになり、強すぎるとタートルゲームばかりになるRTSにおいて調整が難しい分野ですが、
少なくとも開発チームはZvPにおいて序盤のザーグの偵察方法が限られることもあり、ディフェンダーズアドバンテージが十分ではないと考えているようです。
とはいえ、この変更はもし実装されれば「シーズン中に行う過去最大に危険な変更」になると開発チームは述べています。
こういう種族の根幹にふれる変更は、シーズン終了後の大規模アップデートで行うべきなのでは、という葛藤が開発チームにはあるのかなと筆者は考えています。
プロトスのオールインを必要以上に弱体化してしまう可能性を秘めていますし、オールインに限らず、ハラスも弱体化することでプロトスのマクロゲーム自体の弱体化につながる可能性もあります。
PvTにおいてはハラスが弱体化する以上、Colossusに行ってディフェンシブに戦うしかないHotS以前のPvTに回帰してしまうのではないかという懸念もあります。
まとめ
全体的に見ればテランはBuff、ザーグは微nerf、プロトスはnerfという変更案です。
しかし前に述べたようにこれは2セットある変更案の第1セットに過ぎませんし、そもそも「変更案」に過ぎません。
この変更案がテストされ、次に第2セットの変更案がテストされた上でライブ環境にどの変更が実装されるか決まるので、調整は少なくともまだ1ヶ月近くは先になるのではないでしょうか。
明日にはTestingタブやbalance test modで変更案が遊べるようになると思うので、興味がある人は是非遊んでみてください。