スキルを構成する要素と練習方法と大会について by PSiArc
めちゃくちゃ強くなりたいという前提で勝手に語っているだけであって普通に楽しみたい人は好きにやればいいです。
ここにある内容と異なる確固たる自分の考えがある人も好きにやればいいです。
書いていた時期の違うセクションは口調が違ったりしますが直すのが面倒なのでご了承ください。
目次
- 1 メカニクスの上達
- 2 心理戦
- 3 判断力
- 4 1つのオーダーから派生するトランジションの理解
- 5 研究の仕方
- 6 スタクラはリスク管理のゲームでもある
- 7 練習用リスト・オーダーの管理
- 8 練習に関する注意事項
- 9 ダイア~グラマスまでにある”ぬかるみ”について
- 10 ラダーロジック
- 11 人読み
- 12 相手の崩し方
- 13 チーズの意義
- 14 勝ち筋について
- 15 大会で勝つために何種類のオーダーが必要か?
- 16 大会前のウォーミングアップ
- 17 格上に勝つ方法
- 18 BoXにおける実際的組み立てなど
- 19 おまけ~さまざまなプレイスタイル
- 20 リンク:ラダーをゴリゴリ回すとき/リプレイの研究
- 21 執筆者
メカニクスの上達
メカニクスというのは要するにプレイヤーの根本的な技巧であり、マイクロ・マクロ・マルチタスクをどれだけの精度・どれだけのスピードでこなせるかです。
操作の質にも目を向けているところが「操作量」という言葉と違うといえるでしょう。ゲームへの理解度の似通ったプレイヤー同士の勝敗をわけるのはメカニクスです。
「レベルを上げてメカニクスで殴って圧勝する光景」はトッププロに至るまで広がっています。不利になっても逆転するために大事な要素でもあります。
ちょっとくらいプレイスタイルを変えたりしても「どれくらいの早さで操作を叩き込み続けても苦にならない」という基礎体力みたいなものは共通していますが
細かい部分の仕上げで完璧に近づけるにはオーダーをさらに細分化したシチュエーションごとに鍛えるべき熟練度が存在するものです。
メカニクスを上達させることの優先度はかなり高いです。
というのはメカニクスを上達させるというのは内政や軍操作のミスをなくすということですから、練習中の1ゲーム1ゲームから手に入る知識の質が変わります。
メカニクスの技量が違うと特定のタイミングで出るユニットの数が違います。理想的な量を出しあった同士で戦わないと本当のオーダー相性はわかりません。
同じユニットでも強さが違います。すると戦闘をするかどうかの判断も変わってきます。
トッププロほどハラスの多いプレイスタイルを使いますが、メカニクスが甘ければハラスが多ければ多いほどユニット量が理想とズレてきます。
「この数ならこっちが勝つ」「このタイミングならこっちが強い」という知識はプロレベルの操作を前提としたものを知らなければトッププレイヤーを相手にしたとき自分の弱点になります。
「本当はマイクロし続ければ勝ちきれる状況なのに勝てることがわからない」「本当は負ける戦闘を勝てると思い込む」という間違った判断は負けに直結するからです。
メカニクスを高めるためにはキーボードやマウスの扱いを洗練させて個々の操作を磨いていくことも大切ですが、
人並みにデバイスを使いこなせている人間がそこからさらにキー入力を0.05秒早くすることの大変さを考えれば、
今どんな操作を入れる必要があるか判断するまでのタイムラグを減らすことの重要さがわかります。
今まであまりPCでゲームしたりしなかった人にとっては手を動かす器用さという肉体面も無視できないのでしょうが、
ある程度キーボードやマウスを扱い慣れている人にとってはむしろ状況を見て即座に手を動かせるという条件付けのほうが重要な課題になると思います。
やりこみと予知能力
プロプレイヤーの配信を見ると、みんな鬼のような速さで操作しているにも関わらず、何がくるのかをすべてわかっているかのように楽にプレイしていると思いませんか?
逆に、著名なプロのプレイを見ながら「あまりにもノーガードじゃない? あれがきたらどうするんだよ」という無防備さを感じることはありませんか?
実際トッププロにはほとんど予知能力に感じられるほどの経験量があります。ほとんどの試合展開を正確に理解し記憶しているので、
今どういったシナリオの可能性が残されているかを考えるまでもなく自然と理解していますし、一番予想と違う攻撃がきたとしても、
攻撃を食らうかもしれないタイミングになるたびに心と体が準備していますから、無防備な状態からでも驚くほど理想に近い対応を開始することができるわけです。
トップレベルでお互いに最善に近いプレイを繰り返していれば、展開ごとにユニット量や立ち回りには再現性が生まれてきます。
レースゲームでゴーストカーってありますよね。半透明の車が走るやつです。
何十回と繰り返した展開に関しては要所要所で相手のハラスや軍隊のゴーストが見えているような気持ちになってくるものです。
最短距離ならついてるはずなのにきていないから迂回してるかもしれない、というような直感は反復によって化物のような領域まで磨くことができます。
オーダーごとに十分な数をやりこむことで次に起こることが手に取るようにわかるようになってきます。具体的には
- 自分の持ってるユニット
- 相手の状況のイメージ(内政の進み具合、ユニットの編成、配置)
- 次のラウンドでお互いに出てくるユニット
をいちいち考えなくとも自然と意識できるようになります。
いつ戦闘が起こるかを体得できるので出会い頭に軍隊をちゃんと見ている可能性も非常に高くなります。
戦闘開始を見逃してしまうのはドン臭いというだけでなく、単純にやりこみが足りないことが多いです。
やりこめばどこにハラスを入れるのが有効かとか相手のハラスに備えてどこに配置するかとかも考える必要がなくなります。条件反射で動かすのでAPMは上がります。
やり込むというのは闇雲にゲームをこなすだけではありません。リプレイを見てプレイ中の主観に知識をくっつけていく作業でもあります。
リプレイを何度も見て得られる情報を、ゲーム中に得られる主観的体験から連想できるように結びつけていきます。
- 「ゲーム中にこれを見たら裏でこうなってるっていうのがこのリプレイの何分何秒の状態で、展開の分かれ目」
- 「この視覚情報がこのマイクロを入れるトリガー」
といった基本的要素を最初は覚えこんでいきますが、練度が上がって対戦相手が強くなるにつれて同じパターンの再現を目にすることが増え、
- 「初弾のドロップはこうくる。一度返したらこうくる。次の動きは正面に大きな動きが見られなければここかここにくる」
といった中盤以降の複雑化した展開までを自然と一繋がりの棋譜やシナリオのように覚えることが可能になってきます。
中盤や終盤(要するに3base以上になったあと)はオーダーに関わらず共通している事柄も多いですから中盤と終盤の仕上げは自分の力の底上げにつながりやすいです。
- 使いたい初期オープナー全種類のやりこみ 3~10種類
- そこから派生する中盤のやりこみ 2~3種類
- 何をやってても収束するような終盤のやりこみ 1~2種類
自分のプレイのみに着目すると必要なのはこんなものでしょう。長い試合ではこれを1種類ずつ練習できることになります。
慣れている初期オーダーから不慣れな初期オーダーに切り替えて練習すると下手なのでアドバンテージを取られやすいですが中盤と終盤のクォリティが上がっていると逆転の目が残るので不利になってもやる気を出しやすいです。
新しい初期オーダーがあまりにもヘタクソな場合、大きいミスをしたら萎え落ちかというくらいアッサリ落ちることを繰り返して8分くらいまでを徹底的に練習するのも手だと思います。
当然レートは犠牲にしてしまいます。レートが高いと勿体無いので自分の場合は普通にやってるのに負けこんでレートが落ち込んだときついでに慣れないオーダーでポコポコ落ちるプレイをします。
マイクロ
もっと勝ちたい我々の目指すところはウケ狙いの大道芸ではないので、
何となく難しいマイクロをしようとするのではなく、効果の高い合理的なマイクロを優先的に選択して練習しましょう。
プロがみんなやっているようなマイクロは勝つために必要なものなのでどれだけ難しくても身につくまで練習する必要があります。
一部のプレイヤーしかやっていないうえにその人がトップというわけでもないのなら、必ずしもやらなくていいおまけ程度のものです。
上達のプロセスは、やり方・判断・質・余裕の4つです。
やり方―プロの上手いマイクロを見て、1つ1つのアクションのやり方を分析する
まずマウスで何をして何のホットキーを使って、という操作1つ1つの手順を明らかにしなければなりません。
判断―1つ1つのアクションを入れる条件を分析する
引き撃ちと押し撃ちを切り替えるタイミング、
どれくらいの間合いでスキルを使うか(相手が接近しているか逃げているかによっても変動する)
どんなとき隊列を整えるか、どの段階でスプリットし始めるかなど
質―反復してマイクロの質をあげていく
やり方と判断条件をだいたいマスターしたあとでもプロとどこか違う場合は、
序盤から中盤にかけてはマイクロを入れる小刻みさ、終盤はミスしないような精度が違うことが多いでしょう。
プロの場合reaperやStalkerの引き撃ちなどは1マス刻みで引き撃ち・停止・追い撃ちの選択プロセスが起動しているようなプレイヤーが多いです。(小刻みさ)
余裕―同じ質のマイクロでも「頑張って意識していればできる」状態から「他のことを考えながらでも余裕でできる」状態まで持っていく
マイクロが自分にとって負担にならないように体に覚え込ませていないと、
「ハラスが刺さりすぎて、マイクロし続ける負担で自分のマクロが崩れる」ような現象が発生します。
マルチタスクの範疇ですがクロスカウンターになった場合など発生している戦闘が多い場合にどこでどのレベルのマイクロをするかの整理
手癖でできるようになったマイクロを、さらに損得勘定しながら使い分けられるように。
マクロ
一番大事なのは連続生産です。理想は連続生産を続けるべき部分でまったくミスらなくなることです。どれだけ忙しくても。ハラスを刺し合っていてすら。
予想外の展開が起こってすら維持できる、いや予想外の展開などもう残ってはいやしないのかもしれない……(これはミスしそうな難しい状況!)と思ったときにはもうマクロ操作を入れている……という状態が完成形です。
トッププロに近づくにつれお互いのハラスが苛烈になっていくので細かいミスまで含めれば究極的にはどこまでいっても完成しませんが、それでもミスはほとんどなくなります。Maruのハラスを相手にしてもです。
さて、これでは世界の厳しさだけを感じてしまいますが、実は連続生産しないこともマクロなんです。
理想的にはワーカーはちょうどいい数で止めないといけません。ワーカーを無駄に作りすぎてしまえばそれだけ軍量が減ってしまいます。強い軍を持てるタイミングが遅れてしまいます。
どうしてもちょっと連続生産の回り方がよくなくなるところで優先度の高いものから順に処理することもマクロです。
アップグレードが完了するタイミングで忙しくてもタイミングよく次のアップグレードを入れてしまうのもマクロです。
マルチタスク
よくある過ちとして、頑張って操作することそれ自体を目的にしてしまいがちです。
頑張って操作して自分が苦しいだけならいいのですが、
最悪のケースとして効果もないのに闇雲にマルチタスクして、
ただ自分の内政を乱すセルフハラスにしかなっていないことがあります。
難しいマルチタスクがいつも効果的とは限らない一方で、よく考えられたマルチタスクは比較的楽に効果を発揮するものです。
マルチタスクの肝はパターン化です。タイミングやマップにあわせて有効な仕掛け方を覚えて、少しでも楽に繰り出せるように頭を整理し、それからたくさん使い慣れることが大切です。
プロレベルのプレイヤーはハラスがくるタイミングに合わせたカウンターを入れるようなことを平気で意図的にやってきます。
普通なら操作量が平常時から倍になるだけのところで3倍忙しくなる可能性があります。その場合でも対応できるほどの余裕を持つことも含めてマルチタスクの技量です。
ドロップのコツ
まず回収して撤退させる条件を整理しておきましょう。
相手のユニットがある程度きたら損にしかならないから逃げるしかないわけですから、視界の端にこういうのが見えたら逃げるというのを決めておくことです。
回収したあとの使い方に関しては、敵陣のそばに待機させておく場合、
ただ単に「少し時間がたったら再び舞い戻ってハラスする」というのは相手がハラスを返したあと全力でカウンターに向かっている場合などは有効ですが、相手がディフェンシブであると完全に無効です。
「他の場所への攻めを入れたあとでハラスに戻す」という動きをすると、相手がパニックで全軍選択をしてディフェンスに向かわせた場合などにそれを罰する効果があります。
マップアウェアネス
マップにどれだけ注意を払っているかのことで、
ミニマップに一瞬うつったドロップなどを発見する能力です。
高めるために必要なのは
- ミニマップを見る癖
- 賢い視界の取り方(事前の研究で自分のベース数やタイミングに応じて完全にパターン化できます)
- 相手がそろそろドロップに行っていそうという経験的な勘や、相手の正面の軍隊の減少に気づける観察力と経験(肝心のタイミングで警戒してミニマップを見る頻度をあげられる)
心理戦
人の心が本当に読める人なんていません。
こうしたいだろうという相手の意図の推測が上手くいくことはあるでしょうが、そういうものを過信しないことです。
それより大事なのはリスクヘッジが上手いことと、飛び抜けて合理的な選択肢があるときに駆け引きの誘惑に逆らえることです。
判断力
攻められて死んだ場合に考えることは
まず「こういうふうに攻められる兆候をどうすれば見逃さなかったか」
何分にどこに偵察を入れて兆候を知り、
攻められるちょっと前にユニット1体を犠牲にして前に出てきているのを確認して確信する、というのが基本パターン。
「どこをディフェンスラインにするべきだったか」
決して守れない位置で守ろうとすれば百戦百敗です。
こちらがベースを放棄しても十分戦えるぐらい内政を犠牲にしているプッシュ相手に無茶な守り方をしていたら完全にそれが敗因です。
「シムシティに問題はなかったか」
建物を壁として適切に使うことで防げるかどうかが分かれるパターンがあります。
「オーダーを調整するべきだったか(トランジション)」
守れば勝ちのオールイン相手には普段なら建てる拡張を後回しにして資源をユニット生産に使うような選択が正答です。
強烈なオールインにはワーカーの生産を止めて防衛施設を一気に追加したりする必要も。
攻めが効かずに負けた場合に考えることは
まず「攻めが効かないと判断して引く手はなかったか」
相手が内政を絞ってユニットを用意していれば攻めは効かないし、攻める必要もありません。
そもそも相手が内政を絞っていれば攻めなくてもイーブンで、
ユニットを温存しておけば1分後2分後のタイミングには自分のほうが強くなっているかもしれないのに、
今ユニットを食われると常に相手のほうが強くなってしまいます。
ドロップ・スピードリング・ブリンカーなどを使った攻め方は逃げ帰りやすいので絶対にこの判断ができないといけません。
「相手のオーダーを見て攻めが効かないと判断して引いて内政重視に切り替えることは可能か」
全力オールインなので引いて内政する選択肢がそもそもなくて突っ込むしかない場合は
もはや戦闘前に偵察する意味は理想的な当たり方をするためくらいしかないので勝つか負けるかになるのは仕方ありません。
アーミーとエコノミーのバランスのよいタイミングプッシュをしようとしている場合は、
相手のディフェンスが堅いのを見てコンテイン程度で内政やテックを進められて、微不利・イーブン・微有利にわかれるでしょう。
たとえ不利になる場合であっても突っ込めば負けが確定なのに対して我慢すれば勝機が残るのでそこは我慢できないといけません。
どんなときに攻めてどんなときに攻めないかのパターンを確立する
攻めても損をするだけのときには一切攻めないというメリハリは大事です。単純に得なうえ、操作量も節約できてほかの精度をあげられます。
駆け引きの改善
見られるとプッシュを悟らせてしまうようなユニットを隠したり、偵察カットして相手に察知させない手はないか。相手に他のオーダーと誤解させることはできないか。
1つのオーダーから派生するトランジションの理解
2ベース以降のオーダーは相手を見たうえで移行するトランジションが数パターンあるものです。
特定の条件で相手に大ダメージを与えるトランジション
これがあれば「あのトランジションでプッシュすれば刺さるな」と判断できるポイントが生まれ、
楽にスコアカウントを稼げる可能性が出てきて戦績の底上げ・長丁場での体力温存が期待できます。
偵察情報に合わせて安全に組むトランジション
これがなければ丹念にスキルチェック的タイミングプッシュ・ハラスを入れてくるプレイヤーに事故死します。
偵察情報に合わせて限界まで欲張るトランジション
これがなければ安全型プレイの上手いマクロプレイヤーに対する勝率が落ち込みます。
正しい欲張り方は内政を欲張ったりアップグレードを早めたり様々です。
オーダーの既定路線
道なりに進むのもトランジションと同じく判断を伴うべきことです。
続けていい場合とダメな場合を把握しましょう。
本当に大丈夫かな、攻められて死なないかな、と不安な気持ちでオーダーをやっていてはミスをします。
研究の仕方
研究の基本はとにかく覚えることです。
とりあえずゲームについて覚えている事実があればあるほど閃くようになります。
ゲームのことで無味乾燥な暗記なんてやってられませんから、ワクワクしながら事実を覚えていくことです。
たった1つの皆が理解していない事実を知っているだけで1勝稼げるという、合法なのにズルしてるかのように効果を発揮する知識というものに対する欲を持つことです。
タイミング・ベンチマーク
タイミングやベンチマークはほぼ理想的な時間にユニットを出せているプロ基準で覚えるべきです。
たまに時間なんて覚えても無意味だとか応用が効かないだとか言い出す人がいますが理想的な内政での時間を覚えていれば
ハラスダメージで遅れる分などを差し引いて考えればいいだけなので基準として何分に何が出るという知識は持っておくべきです。
ミニマップを見るついでにタイマーを見てあのオーダーを取られていれば今頃何のユニットが出てるなと気づけるので判断材料が増えます。
タイミング・ベンチマークを基に理論を立てる
覚えているタイミングやベンチマークが増えると、
「相手はこのタイミングに何体のユニットがいるから、このプッシュは刺さる/刺さらない」
というジャンケンを頭の中で出来るようになってきます。
実践してみないと確実ではないですが、
苦手なオーダーが現れたときに、有効な対応の手がかりを得やすくなります。
他種族の視点で見る
他種族の視点が育っていれば育っているほどミラーのように相手の状況を想像しやすくなります。
一度ためしに他種族のプロにカメラを固定してリプレイを見てください。
どういうタイミングが忙しいか、どういう手順でユニットを動かしているか、
どういうタイミングでオブザーバーをひっつけたり強行偵察を入れたりして相手の動きを把握しようとしているか。
日常的に見ていれば「今のこの情報をカットできた」であるとか、
「あのオーダーをしていれば今ワープリが動いてる途中で多分このルートを通っている」といった推測がたつレベルになっていきます。
あまり考えずにボーッと見てるだけでも「このタイミングで攻めの兆候を見られるんだ」とか、
「こういう視界の取り方のパターンがあるのか」とわかって勉強になるでしょう。
ミニマップだけ見てオバロやオブザーバーの移動経路と配置だけ鑑賞したりしても得るものがあるでしょう。
「勝てていたはず」を探す
あのタイミングでプッシュしたら勝てていたようだ。 このオーダーvsあのオーダーでこういう展開になった場合はプッシュに行くべきだ。
という場面をまず探します。この時大事なのは条件をしっかり把握することです。
ユニットロストやハラスのダメージによるオーダーの遅れなどを無視して、
「このオーダーならプッシュ」といった結論にすぐ飛びついてしまうのは早まりすぎです。
立ち回りの計画をたてていく
プッシュタイミングまで完全に篭っているようなプレイヤーというのは相手していていつ攻めてくるのかがわかりやすいですが、
頻繁にリスクの少ない攻めを見せては帰っていくプレイヤーは相手にしていていつ本格的に攻められるのかわかりづらいです。
棒立ちしておいてユニットが揃ってきたからそろそろ行こうなんて単発の動きよりも、
布石を打った後の動きのほうが当然強いわけです。
だから例えば4メディバックのタイミングが強いからそこで勝てる可能性のあるようなプレイがしたいなぁと思ったならそれを活かすための動きも思い浮かべます。
前もって相手の視界を奪ったり、前もってハラスを入れて相手のユニットを分散させておいたり、攻める気がない時点から前に出るふりをしていつ前に出てくるのかわからなくしたり、
そのタイミングにアップグレードが入るように調整したりできないかということが考えられます。
逆算していく
リプレイを見ているとこれが勝因になったなあという良い動きに気づくと思いますが、必ずその前提となる動きも存在するはずです。
動きと動きを結ぶ論理関係に気づければなぜそうするのかも自然と覚えられますから研究もはかどるというわけです。
このドロップが刺さると勝ちに大きく近づくのか ↓ このドロップを刺すためには視界を奪ったり相手をミスリードするためにこういう動きが必要なのか ↓ その動きにスムーズに繋げるためにはこの失敗して帰ってるだけに見えるハラスにも意味があるのか
やけに早くこのユニットが出てくるな。この時間にこれを出せば強烈なのか ↓ そのためにガスが普通より早く必要なのか
この人異常に強いタイミングプッシュをやってるな ↓ そもそも内政完成や生産施設の追加が早い ↓ そのためにリスク覚悟で序盤の欲張りをしている ↓ 逆に考えればこの欲張りをしたうえで操作と判断で無理やりなんとかするディフェンス力を持てればかなり勝率に貢献するのではないか
なるほど上手いテランにマインドロップしても防がれるのはこの配置をすればマインドロップが完璧に守れるわけだ。 ↓ 逆にその配置をしたらいけない理由はあるか? 真似して他のオーダーだったら危険そうだ。 ↓ その配置をしたらいけないパターンに気づけるように視界の取り方や偵察方法があるか。あるならとりあえずその配置をしつつ視界を取ればいい。というか上手いやつがやるんだから方法があるはずだ。
類似オーダーを比較してリスクとリターンを考える
似通っているけど微妙に違うオーダーというのは巷に溢れかえっていますが、その違いを的確に把握して適切なものを選べれば勝率に大きく貢献するような使い分けができるでしょう。
どういったオーダーやプレイに対してどれくらいのアドバンテージ/ディスアドバンテージが発生するのかを考えましょう。ここまでは普段から暇があれば考えて整理しておくべきことです。
あとは試合時に相手のオーダーやプレイの発生確率を考えてなるべく期待値が高そうなバリエーションを選べば得しやすくなるでしょう。
そうして整理しているとオーダーの利点や欠点が浮かび上がってきます。特に完全上位互換になるようなオーダーに関してはしっかりと理解するべきです。
ほぼ同じタイミングの攻撃にオールイン・バージョンとプッシュの裏で拡張できるマクロプッシュバージョンがあるとして、
そのオールインが刺さるオーダーにはマクロプッシュも刺さるとして、刺さることが勝利条件となるほどのアドバンテージが稼げるとする。
そんな時は後者のほうが複雑で難しいだけでリスクが少ないぶん優れているということになります。
現実的にはどちらでも刺さるオーダーと、マクロプッシュでは刺さらないけどオールインでは刺さるオーダーが存在することでしょう。
しかしどちらでも刺さるようなオーダーの使われる確率が非常に高いのなら、マクロプッシュのほうが低リスクで同じ効果を得られることになります。
スタクラはリスク管理のゲームでもある
このゲームにはひたすらリスクとリターンを考えて、先に2セットなり3セット取れるようにオーダーやプレイを調整していくゲームとしての側面があります。
例えば序盤にどの程度のアドバンテージ/ディスアドバンテージならどの程度の勝率かを考えてみます。
あなたのほうが相手より強いとして、ややディスアドバンテージの立ち上がりですら勝率が90%など非常に高く、
極端なオーダー相性などで大きなディスアドバンテージを負った場合のみ勝率が40%ほどに下がるとしたら?
どんなラッシュがきても安全なオーダーで、大きなディスアドバンテージを受けることはないがややディスアドバンテージを受ける可能性の高いようなものを選択することの合理性は増すでしょう。
逆にリスキーだが半々の確率で大きめのアドバンテージを取れる可能性のあるようなオーダーはその対戦相手に使うには過剰投資です。
大きなアドバンテージをとってもイーブンでも勝率にほとんど差がないのですから。
では、「ややアドバンテージがある」程度まででは勝率が10%しかないが大きなアドバンテージを取れれば勝率が50%にまで上がる相手なら?
2/3の確率で失敗してディスアドバンテージ小~大を負うが1/3の確率で大きなアドバンテージを取れるような勝負オーダーの合理性は大きく増すでしょう。
ずいぶん極端な設定だと感じるかもしれませんが、スタークラフトの場合はマイクロの差を活かせないほどのアドバンテージ差を作らないと、実力で簡単にひっくり返される性質があります。
練習用リスト・オーダーの管理
持ちオーダーは大切にしないといけません。使っていないと忘れます。存在そのものまで忘れます。だから自分の持ちオーダーリストを作っておくことは必要です。
自分が戦力としてカウントできるオーダーと、勝つために必要だと思うから身につけたいオーダーを全部書きだしてください。
プレイ感覚の非常に似ている類似オーダーはまとめても良いでしょう。
たとえばこういう感じです。
vZ Reaper速攻 バリエーションA/B vZ マインドロップ vZ ○分即StimMedi vZ ○分○○オールイン vZ 3OC・アップグレード優先 vT ドロップスタートのマルチタスク型スタイル vT ディフェンシブマクロスタイル vT Tank Vikingで詰める系 vT 奇策・チーズ vP 1ベースマインドロップ vP 拡張後マインドロップ vP 拡張後リベレーターハラス vP 3OC vP 2rax StimMedivac vP 3rax timing
練習用のリストとしては要素を書き出すのもいいでしょう。
特定の編成でのマイクロを何回こなすとか、どういう攻撃への対応をするとか、どういう状況でドロップを入れるとか。
特別ノルマを決めなくても一覧性のあるリストがあるだけでもザッと見て明らかな不足には気づけるようになります。
私の場合は練習課題として特定の苦手オーダーへの新しく考えた対応や、
特定ラッシュでダメージを受けたあと今まで崩れがちだった内政を完璧にやることなどもリストに加えます。
比較的早く身につけられるような事項は本当にチラシの裏などに書くと覚えたからと捨てるのが快感です。
しばらくやってないビルドは確実に劣化するので定期的に使って確認したいです。
使い慣れたオーダーも色んな立ち回りを試していた場合はリプレイを見たり流れを書き出しながら整理しないと混乱します。
立ち回りに有効な2つのバリエーションがあってもごちゃ混ぜにしてしまうと1つ1つの立ち回りの相乗効果が消えた組み合わせになってしまったりするからです。
5分までちゃんと組めているけど途中からアップグレードのベンチマークや生産施設追加のベンチマークが崩れる、といった状態はGM内部の力の差を生み出す大きな要素です。
6分くらいまでは事細かに覚えておいて展開でワーカー動員してズレたりしたら修正。それ移行は大枠のベンチマークが大事です。
ややこしい展開は時間のみではなく相手が3rdを回し始めたタイミングでどれくらい自分のオーダーが進んでるかなどを基準にします。
練習に関する注意事項
弱い相手と連続してあたっているときにやりがちな劣化
格下とばかり当たっているときに「なんとなく勝ってるからいいや」と思うとしょーもない実力で成長が止まります。それどころか下手になっていきます。
頑張ってマイクロしなくても勝てるからとすごく適当にAムーブしたりするとすぐに癖になります。
上手い人間相手にAPM100要求される部分はヘタクソ相手でもしっかりAPM100払っておかないと練習になりません。
(棒立ちさせて攻撃させているのが一番の状況でも本来操作や判断が必要になるならAPM100分の注意を払ってちゃんと見ておく)
適当で勝てるから適当にやるのはサボりです。もちろん安全めに絶対ミスらないプレイを中心に組み立てて確実に勝ちに行くことはかまいませんし、失敗率の高い極端に難しいプレイに挑戦する必要はありません。
まだ操作量が少ない時期に、まず内政を徹底的にマスターするためにハラスを控えるようなゲームをすることがあっても構いません。
アラを探すリプレイ研究
もしあなたがGMレベルのレートを持っていないなら、自分のリプレイを研究するときは「この相手はヘタクソだったかもしれない」と心配したほうがいいでしょう。
リプレイを見る時も数値をそのまま覚えるのではなく、ちゃんと「この相手はユニットを理想的な時間に出せていないかもしれない」
「この相手はちゃんと内政ブーストができていないかもしれない」とアラのある前提で考えることになります。
もちろんそういうレベルに至っていなくても部分的にどこは上手いということはあるので取捨選択すれば参考にできますが絶対的な回答とはいえません。
リプレイ研究するときに「この人はヘタクソかもしれない」と心配しなくていいまともなプレイヤーの基準としては、時期によってラダーの順位などはかなり違うと思いますが、
NAGMTop16やKRGMTop100は信頼できます。大会でいうと韓国人の多いLeifengCupやOlimoleagueなどで
CodeAをうろつくくらいのトップではない韓国プロから1割でも勝ってるレベルなら信頼できる実力です。
そこまで行かないプレイヤーは何かしらアホらしいミスを残していてプロ基準でいえばヘタです。
つまり日本最強レベルもプロ基準ではヘタクソですが、流石に無駄に資源を余らせるレベルではないので序盤のビルドのタイミングなどは9割がた信頼できます。
ただし中盤以降のアップグレードやHiveタイミングなどは必要以上に遅れてしまうことがあるでしょう。だいたいNAGMTop30~50やKRGMTop150くらいがそんなものだと思っていいです。
下位のGMやGMになれないマスターなどは波があります。「上手い部分は上手いがとんでもないミスをする」「ちゃんと使えているビルドもあるが特定のビルドの組み方かやり方を間違っている」など。
そういうことなので、とにかくトップレベルに追いつくまでは勝った試合でも反省したり相手のミスを指摘できなければなりません。
ミスを見つける能力は無駄にはなりません。上にいくとミスの質が変わってくるだけでミス自体はどこまでいってもあるので。
またうまい相手とやった経験が増えれば下手な相手とやっても「本来のユニット量やタイミングはこれくらいだから今の守りじゃ死んでた」と補正した考え方はできるようになります。
ラダーランクでエゴを育てないこと
あなたがマスターで2500ポイント持っているとして、あるいはあなたがGM16位だとして、すべてのオーダー・すべての能力がそのレベルなわけではありません。
主に勝ちを稼いでくれた特定のプレイスタイルだけがそのレベルだということです。
あまりやったことのない新しいことを始めるとみんなポイントが低下します。
そこで自分のランクに勘違いしてしまっていると「こんなザコに負ける俺のはずじゃない」となって自分のミスを直視できなくなります。
もっと性質の悪い自己認識の歪ませ方もあります。マクロは下手だけどいくつかのチーズが上手い人がいたとします。
マクロをやっては負けていますがある程度負けるとチーズでポイントを稼ぎ直すのでレートは高いです。
この人の場合正しい自己認識は「チーズは上手いがマクロが甘い」で「マクロを克服すること」が課題、
大会などですぐに勝ちが必要なときは「マクロの弱さを悟られずに上手くチーズで勝ち星を上げる」というのが目標になりますが
「いろんなオーダーを取ったうえでこのレートだ」という欺瞞を自分で信じこんでしまう人がいます。そうなると上達するうえでも勝率をあげるうえでも損です。
肥え太ったプライドは上達を阻害します。プライドというのは例えばDreamhackで1日に何十ゲームさせられることになってどれだけ疲れても意地でも実力を出し続けて勝ちきってやるという矜持が必要になる最後の最後まで必要ありません。
そもそも自分の実力ですらないレート
自分の実力ですらないレートというのもあります。具体的には昇格直後のポイントです。
マスター昇格直後・グラマス昇格直後はそのランクの中堅あたりのポイントが与えられています。
(BPを足し算して考えてCodeAの韓国プロ3300ポイントなら2700、CodeAの韓国プロが1200ポイントなら600あたりが中堅と考えた話)
特にグラマス昇格直後なんかはギリギリ昇格した人にとってはまさに昇格した瞬間にMMRとポイント数に分厚い下駄を履かされたような状態になります。
そしてマスターの中堅といえばディビジョンが悪くなければ普通にTop8に入れます。
しかしマスターに上がる能力がある人の数に比べて昇格後何十ゲームもして中堅を維持できる人はそこまでいません。
そのランクの中堅~下位の人には「けっきょく昇格直後が一番(ポイント+BPが)多かった」という現象は頻繁に見られます。
レートを気にしないこと
負けが上達の役に立っているならレートが落ちても気にしないでください。
これから100試合やっても同じレートになりそうだと思っていたならそれは適正レートですが
あんまりやってると落ちるかもしれないと気にしているようだと運良く勝ってしまっているわけです。あるいは調子がいい時だけ選んでいるから自分の平均以上に勝ってしまっているわけです。
無理して稼いだレートでも、強い人が少ない時に獲得した高いランクでも一部の人に対する箔にはなりますが、こけおどしは長い目で見て役に立ちません。
レートをあまり気にせず、多少疲れてもゲームして、それでも納得できるレベルのポイントが最低限維持できるようになったらそれが一番信頼できる実力のついたときです。
そもそも世界大会で入賞するレベルのプレイヤーのほとんどはラダーを登り切った経験があるのでラダーポイントなど全然気にしていません。
虚勢を張る必要のない強ささえ手に入ればどうでもいいんです。
レートを気にしたほうがいいとき
逆にレートを気にしたほうがいいときというのはあるのでしょうか?
あるとしたら勝ちへの執着がなさすぎて集中できていないときと、レートが落ちたことに気づかずイージーウィンで気持よくなっているときでしょう。
いつもいつも見比べていても時間の無駄なのでラダーを始める前にラダーポイント+BPを計算しておいて、一日分のラダーを回したあとのポイント+BPと比較してみるといいでしょう。
なお新しいシーズンでは自分の内部レートにとっての適正ポイントに追いつくまでは同じ内部レートの同格プレイヤーと勝敗を繰り返してもポイント収入>支出になるのでポイント収支が落ち着くまでは参考になりません。
(前シーズン終了直前に+12(+12),-12(+12),+12(+12),-12(+12)となっていたようなプレイヤーとの試合で+24(+24),-1(+1),+22(+22),-1(+1)といった収支になる)
レートにどこまでこだわるか
自分の限界の高レートを維持しようとして初めて見えるものは間違いなくあります。
必死で粘り勝ちすることでしか見えてこない勝ち筋もあります。不利でも士気が落ちないことや粘り強さの有無は勝率に影響します。
しかしその一方で、微妙なレベルじゃないと中々喰らえない変なチーズがあったりはします。
高レートのほうがチーズも洗練されているから基本は高レートを志向するべきですがわけのわからないものも一度は見ていないと面食らいます。
APMの増減に一喜一憂しない
APMは増えたから喜んだり減ったから悲しんだりするのではなく、それに伴ってプレイがどう変化したか見ないといけません。
緊張ややる気の空回りでいつもより無駄に同じ操作を繰り返してるだけでもAPMは上がってしまいます。
APM増加なら試合中冷静さやロジックが保てていたか、非効率な操作や逆効果な操作がなかったかを、減少なら必要な操作をサボっていなかったかを見ないといけない。
プロの配信を見るとわかりますがスパムでいいときの生産のスパムとコントロールグループスパム以外には全然無駄な操作がありません。
APMは試合時間によって変わることもあります。序盤のスパム操作を大量に入れるのに根本的な操作量がない人はゲームが短いほどAPMが高く出ますし、
根本的な操作量はあるけど序盤にスパム操作を入れない人はゲームが長いほどAPMが高く出ます。
その怒りは練習効率を落とします
我々と世界のトップとの間にある差は絶大であり、それを埋めるためには怒って負け試合をノーカンにしているような余裕はありません。
悔しさをその場で発散するのは非常に勿体無いです。怒りと屈辱は長く長くモチベーションとして使うべき燃料です。
屈辱的な試合を怒り散らして忘れるのは自分のプレイスタイルに脆弱性を増やす行為です。
屈辱的な負け試合ほどリプレイを見て脳裏に焼き付けるチャンスのはずです。
怒りは大事に長く長く使ってください。屈辱的な負けをあなたに与えたプレイヤーを十連敗させて地獄に落とせるようになってください。
罵倒されたなら笑顔で首肯し自虐し相手を褒め称え、余分な屈辱まで感じたうえでその怒りを何ヶ月も持続させるといいでしょう。
格下に負けたという怒り
その相手を見下すのは早すぎたのかもしれません。
「一番上手く行っているときの自分」だけを自分だと思うのは間違いです。格下があらゆる面で格下ということもありません。
人間は変化する生き物であり、ヘタクソをいつまでもヘタクソだと思うのは間違いです。
1年くらいでマスター下位からGMTop50に至るようなプレイヤーもたまにいます。
それになりふり構わず勝つ気のあるプレイヤーを相手にして本当に勝率100%になることはありえません。
上に行けば行くほど『格下』も一定の実力は持っているプレイヤーになるのでバランスの底を突いたチーズを常に確実に返すようなことは不可能です。
それでも勝ちたいなら自分のミスを直視して二度と繰り返さないように良いプレイを頭に叩きこむしかありません。
そもそも格下に絶対負けないレベルの完成度というのは結構到達が難しいんです。
フルタイムのプレイをやめて練習時間の減った元トッププロなんかは現役トッププロからもゲームを取れるのに格下にもポロポロ落とす状態になっている人がよくいます。
格下に負けにくくなるためには単純に初見殺しオーダーに対しても網羅的に耐性を持たないといけないし、無知ゆえに常軌を逸した欲張り方をされた場合なども見落とさず咎めないといけない。
変な欲張り方というのは「普通に攻められたら即死するからアホらしすぎて普段やってるハイレベルな相手は絶対にやらないこと」だから最初から除外していて偵察を入れていないかもしれない。そうしたら不利になります。
「まったくトップメタを理解せずにやってる非合理な行動がたまたまトップメタの裏をかく」ことは普通にあります。
チーズやラッシュなどに理不尽に負けたという怒り
しっかり研究して絶対的結論を出せば楽になります。
死ぬ条件と防げる条件を明確にできたらあとはサザエさんのジャンケンを見るのと何も変わりません。
「防げるプレイを選んでなかったからしょうがないな」とか「ミスしたからしょうがないな」と思うだけです。
研究の結果超高度なマイクロをすれば防げることがわかったけどそれが出来ずに死んでしまうパターンから中々抜け出せないとしても、
MarineSplitChallangeなどのアーケードでマイクロを練習する程度の有意義さはあるでしょう。
ラダーポイントを失ったことに怒っているなら、自分の器を広げれば解決します。
世界大会で入賞するレベルのプレイヤーはラダーなどとっくに登り切った経験があるため普段ラダーポイントなど全然気にしていません。
操作したはずが思った通りにユニットが動かなかった/建物がキャンセルされていたなどの怒り
マウスやキーボードがチャタリングを起こしていたり回線が本当におかしくてパケットロスなどが発生しているのでなければ、
自分の操作に何らかの問題があって発生しているのでリプレイを確認して操作の記録を見ておかないと安心できません。
「操作ミスしたからノーカン」で済ませると似たような状況でまた発生してしまうので勿体無いです。
思い描いてる動きをミスなくできるようになるまで面倒くさい振り返りが必要になるのもゲームのうちなので気長に付き合ってください。
imbaに負けたという怒り
本当にバランス調整が入るレベルのimbaマッチアップがあっても、根本的に何もかも変わることは中々ないので、
適当にやりすぎるとパッチが入ったあとそのマッチアップの知識が不足しすぎて後悔します。
バランス調整されたあと上手くやれる程度には色々やっておきましょう。
またバランスが悪いと言われているときでも、大抵うまく誤魔化して無理やりマクロ力の差やマルチタスクの差で勝利するような方法はあります。
そういった方法というのはスキルそのものなので無駄になりません。たとえば不利になってまともに戦ったら必敗の状況から相手が前に出れないようなハラスをタイミングよく入れることを続けて上手く誤魔化して逆転するのと類似の技術です。
そもそもこのゲームは本当に技術の問われるゲームです。その時々の最弱種族を使っていても韓国中堅プロくらい(プロリーグにあまり出してもらえない)の強さになれば日本じゃ誰を相手にしてもほぼ無敗レベルで無双できるでしょう。
ダイア~グラマスまでにある”ぬかるみ”について
私のレート帯はMMR的にはKRGMTop120~150, NAGMTop16~50くらいです。
LotVベータ中のプロがほとんどおらずヌルい特異的な時期にはKRGMでTop50に入っているようなこともありましたがほとんど意味がありません。
人が少ないときにダイアモンドのプレイヤーと当たると勝って+1や+2ポイントなのでそのあたりが把握の限界です。
KRダイア上位・マスター下位のぬかるみ
チーズやラッシュが多い環境でやっているダイア~マスター下位のプレイヤーは何をするときもディフェンスに過剰投資してしまうことが多く見受けられますが、
それでは上のプレイヤーのマクロプレイに太刀打ち出来なくなり、そのレート帯でぬかるみにハマることになります。
強いプレイヤーに対抗するためにはプロのオーダーのように「素晴らしい判断と操作をすればラッシュをギリギリ守れるレベルの欲張りチューニング」が必要であり、その判断と操作を身につけることで格下対策とするべきです。
ドロップなどで突っ込む一択しか頭になく、準備ができている相手には下がればまた改めて次のユニットと一緒に別の場所を攻めて勝てる可能性があるのに突っ込んでしまい、
ユニットを一方的にロストしてしまうような猪突猛進なプレイのやらかしもこのレベルでよく見られ、一つ上のランク以降で一気に減りだすものの筆頭だと思います。
また、チーズ系のプレイヤーに関しても、オーダーがなにか間違っていて弱いか、マイクロや仕掛け方が良くないか、ラダーで今多く遭遇しているメタに有効なチーズを選択できるだけの理解度がない、などの問題がありがちです。
根本的な技術の差を除くと、全体的にトップメタやスタンダードとどこか違うことをやっていて、それが損に働いていることが多いです。
プロのオーダーを真似している人でも細かい部分の処理が違ったり、判断やユニット配置が悪いせいで結果的に別オーダーのようにオーダーパワーが落ちていることが多いと思います。
強いオーダーを使っていて理解度が十分であれば数をこなしているうちに慣れでラッシュ対応や技巧が洗練されて時間とともにこのレートを通過してしまうのではないでしょうか。
中堅マスター・下位グラマスのぬかるみ
NAGMTop50などの中堅GMと比べるとNAGMTop150あたりのプレイヤーにはマイクロやマクロの技巧不足か、致命的な知識の欠如があります。このレートは細かい部分を詰めて考えていく根気強さが非常に重要になります。
細かいことや敗因の分析を「まいっか」で済ましているとぬかるみにハマることになります。
特定のマイクロを磨いたり、特定のチーズ対策が進んだりするたびに平均レートが上昇したり、理解できる展開が増えていくことに楽しみを見出せると楽になるでしょう。
このへんもプロレベルと比べるとnoobに見えるくらい穴だらけなので、とにかくどこでもいいから穴を埋めていけば自然とランクが上がっていきます。
中堅GMからするとある程度見慣れたスタンダードを踏襲してくれる一方で単純に下手に感じるので基本的に楽な相手ですが、特定オーダーや特定シナリオのときだけ中堅GMなどと遜色なく強く感じられることがあります。
要するにゲーム内容による落差も激しいです。だから特定のプレイスタイルでこのレートを抜けだしたとしても、使ったことのないスタイルに関しては研究と練習をやり直さないといけないことがあります。
それでも一度でも抜けだした場合は、上手いプレイヤーのプレイから色んな概念を仕入れられますしそこから類推して楽に上達しやすいのであれもこれもやろうとせずにまず一度抜け出すことを考えるのは悪くありません。
ちなみに私がTop150あたりからTop50あたりまでレートをあげるときには、変なチーズに死なないオーダーをしつつ
ローリスクで入れられるハラスやタイミングプッシュを逐一入れて、勝利判定の起こるポイントをこまごまと確保していれば面白いように勝ててレートが上がっていくという印象です。
逆に全然プレッシャーを与えずにプレイしていると流石に相手も内政をミスらないので差がつかなかったり、変な欲張り方をされていて不利になって負ける危険があるというのが経験上感じていることです。
マスター上位・グラマスのぬかるみ
マスター上位には際限がありませんので、同じ星付きマスターでも上と下でレートが800ポイントくらい違ったりします。
グラマス>マスターは常に成立することでなく、ケースバイケースになります。
正直NAGMTop50から上もそこまで同様、技巧の差やちょっとした知識の差でつくじわじわとした勝率の差がランクに影響していると思います。
しかしNAGMTop150からTop50までの道のりとくらべてそこから上へ行く道でさらに際立ってくるのは、一度の動きで差がつくことがどんどん減っていくということです。
よくある展開の理解はみんな一通りできているので、大きなアドバンテージ差になるミスはそう簡単には出てきません。
だからハラスやプッシュも刺さらないことを前提として二の矢三の矢を考えていないと有効手と言えなくなります。
(まあ本当は予想と違うハラスがきてミスしてアッサリGGみたいなゲームは結構あるんですが、連続して同じミスをしてくれることは絶対にないし、あてに出来ることではありません)
ディフェンス側に回る場合も、上手く誘い込んでユニットを食ったり、輸送機を落とすチャンスを作ったり、相手の気づきにくいタイミングにカウンターを入れたり、
二度目三度目の攻撃がどこに来るかが良く考えた守備布陣の変更を定期的にしていくなど非常に入り組んだディフェンスプランに取り組んでいく必要があると思います。
このレート以降のぬかるみは、努力をいくら注いでも底の知れないKRGMとプロシーンという深い沼そのものにあるでしょう。
なまじ強い人相手にもワンチャンス勝てたり、地元じゃ負け知らずになったりする可能性のあるレートではありますから、上を見ていなければ成長は簡単に止まるでしょう。
まぁこのへんになってくると上も下もかなり基礎ができてるので、得意不得意によって+16される格上なのに勝ち越せる相手と-16される格下なのに負け越す相手がいたりしますし、
細かいポイントの増減に一喜一憂しても仕方ないというか、1ヶ月後に確実にレートが上がっていることを目指すべきだと思います。
ラダーロジック
ラダーで同じ相手とよく当たる。そしてその相手が最近いつも同じビルドを選択しているとする。
この場合の選択肢は4つ考えられるでしょう。
- 1)どうせ同じビルドだろうと考えてそのアンチビルドを取る
手早くレートを取りに行く。上がったレートでより強い相手と戦える。自分の力量が不十分なら1,2ゲームの格上引換券としてすぐに蒸発する。
もう研究を終えて返し方や刺さる条件がわかりきっているラッシュなどはサクッと決めたほうが楽。
- 2)どうせ同じビルドだろうと考えて、そのビルドとの相性関係が不明なビルドや不利なビルド、不慣れな展開になるビルドを取る
知識量や経験を増やしに行く。不利なビルドで無理矢理勝つためのアイデアがあればいい搦手が1つ増える可能性がある。
力量以上にレートを失う危険がある。失いすぎると弱すぎる相手と当てられて効率が低下する。
なんとなくダメな気がしているのに試す場合は単純に時間の無駄になるかもしれない。
- 3)全く知らない相手と仮定してプレイする
ビルド的には自分のニュートラルなプレイをただ維持するわけだが、
どこかしら相手のビルドを意識しているため見えた瞬間の反応などは普通より速くなる。
知らない相手に同じことをやられた時の仮想訓練をしつつ相手のビルドに対する動きの最適化が目指せる。
- 4)敢えて自分から同じオーダーを取りつづけて相手がどういう風にアドバンテージを稼ぎにくるかを見る
自分の理解度が足りないオーダーであればオーダー相性を教えてもらえ、そうでなくても自分の対応力を磨きにいくことが出来る。
ただしあからさまなハードカウンターがあるリスキービルドだと知っているのにこれをやっても時間の無駄。
相手のビルドが珍しいが強いものであれば貴重な経験が積めるので1を選択するのは勿体無いでしょう。
相手のビルドは完全に攻略済みで飽々というほど知識と経験があるなら1でさくっと処理して他のシナリオの経験を増やすのが合理的です。
相手のビルドが流行のものであれば対応の熟練度を上げれば上げるほどいいので丁寧に集中してプレイしましょう。
人読み
人読みというのは、誤解され、濫用され、侮られてきた言葉である。
時にはゲームの理解が不十分な人間が、ゲームを解説するときにある種の逃げとして使ってきた。
時には負けを受けいられない人間が、自分が前もって研究されていたのだと納得したくて使ってきた。
そういったものをすべて受け入れてしまうと、あまりにもボンヤリとした概念になることは避けられない。
だから何をもって人読みと呼ぶかは重要な問題である。そもそも属人的な要素を一切考慮しないということはありえない。
どんなプレイヤーもプレイ中は一瞬一瞬の攻防で相手のレベルを肌で感じとってプレイを調整しているはずである。
韓国プロ上位レベルの完璧なコントロールに加えてミスを誘ってくるような動きを相手にしている時と欧米セミプロレベルを相手にしている時ではついていくために要求されるマイクロのレベルは全く異なってくる。
「これくらいでもユニットは死なないだろう」と考えるのと「ちょっとでも目を離したらまずい」と考えるのとではマルチタスクの注意力の分配も変わってくる。
同じ状況でも下手くそなコントロール相手なら勝てる戦闘だが上手なコントロール相手ではすぐに逃げないといけないことなどいくらでもある。
ここでは一旦「(相手がこのオーダーを取ってくるだろう)という経験則を基に自分が有利になるようにオーダーやプレイを変化させること」としよう。
しかしこの定義をしてもすべての判断がロジックに基づいてなされたか人読みに基いてなされたかが明白になるわけではない。
なぜなら「偵察によって得た情報から相手が何をしているかをかなりの正しさで演繹可能な状況であり、理詰めで相手のオーダーを導き出した」のか
「偵察によって得た情報から相手が何をしているかをかなりの正しさで演繹可能な状況であったが、本人はその推理を出来ておらず、人読みしていただけ」のか
を本人の主観以外では区別できない場合が存在するからだ。
人読みをする合理性
当たり前のことだがプレイヤーが新しいプレイスタイルを用意するにはコストがかかる。
高いレベルでプレイしていればしているほど、不慣れなプレイスタイルを同じレベルに持っていくには準備が必要になる。
決して不可能なことではないし、数日集中して練習するだけで新しいものを開拓できる可能性はあるが、
相手が「対策されづらさ」のためにわざわざコストを払った場合とそうでない場合のどちらを警戒するべきかといえば後者を警戒したほうが「より多くの労力をかけないと自分を倒せない形」が作れる。
「自分を倒すためにかかる労力」が強さなのだとしたら、それは強さを補強することになるだろう。
また、同じオーダーを使い続けていればそれだけ細かい調整に時間を費やせるのでメカニクス的には有利で、細かい資源の使い方やハラスの処理はどんどん最適化されていく。
どんな人でも同じオーダーを数連続くらいやった直後は鮮明に見覚えのあるシチュエーションが増えてプレイヤー能力にブーストがかかる。
よって相手のブーストがかかりやすいワンパターン寄りのスタイルに対してこそアドバンテージを稼げたほうが望ましい。
人読みをしない理由
- 上手いプレイヤーはそもそも引き出しも多いし、新しいスタイルを磨き上げるのも早い。
- 前もって与えた印象を利用して先の先を制してくることも多い。
- 試合のずっとまえから対戦相手がわかって準備できるGSL形式などはともかく対戦相手の多くなるトーナメントで特定の対戦相手に注力しすぎるのは総合的に見て損。
- 根本的な上手さを上達させるのはすべての対戦相手に有効なのに比べてライバル一人をわざわざ研究するのは効率が悪い(ただしライバルの使う有名オーダーを研究することはそのオーダーの使い手全般に役に立つ)
ただ予期するだけということ
研究というほどのものでなくとも、対戦相手の試合を軽く見るだけでも「こういう強烈なプッシュを持っているから注意したほうがいいな」ということはわかる。
オーダーレベルでメタりにいくとリスクもあるが、「こんな感じのプッシュがくるかもしれない」という予期をしておくことにはリスクがほとんどないし、
単純に即座のワーカー動員などの反応が早まったり、理想的な対応が取れたりしやすくなる。
相手のスタイルを知っていることによるリスクとして
「相手のプレイスタイルを意識しすぎて偵察情報についての判断を誤った」というケースがよく言及されるが、
先入観に囚われすぎるほど偵察ロジックが甘いだけのことも多い。
どうしても相手が何をしているかを1つに絞り切れない場合に思い込みが影響するわけだが、
「ロジックで絞り込めるのに絞り込めなかった」場合は何よりも判断力の不足によって負けたのであって、相手について知っていたせいで負けたというのは一番の原因ではない。
トップメタ読み
そもそもトッププレイヤー同士が話したときに「やっぱりこのオーダーが強いな」と言われるようなオーダーというのはその時期その時期である程度固まってくる。
一番強いとされるようなオーダーは発生確率・効果ともに高いのでそれをまず第一に対策することがリスクヘッジにもなり合理的になる。
層読み
「これくらいのレートならこういうオーダーが多いだろうな」「メカニクスの技術的にこういうオーダーになってしまうだろう」という層による読み。
特定のプレイヤーだからというよりももっと広い対象、いわば格下集団の一部分として見られているだけの場合。
消去法されているだけ
力の差があって「中盤以降の複雑化した状況にさえ辿り着けば勝ちを確保できるだろう」つまり「ラッシュに死ぬ可能性さえ消去すれば勝てるだろう」と考えられている。
補助具としての人読み
同じオーダーばかり練習していそうな相手と連戦したときに相手がそれをやってくると仮定して戦うことは別にすぐに揮発するようなポイント欲しさとは限らない。
トッププロのプレイは僅かな兆候から相手のやることを超高精度で想定してそれに合わせて完璧に最適化されたプレイを連続で叩き込んでいく。
その最高効率のプレイを真似るには相手のプレイスタイルを知った上で決め打ちしてでも最高効率ルートを辿った経験がないとそもそも真似する難度が跳ね上がる。
決め打ちしまくってでも成功パターンを一度でも体験すること、そして相手に応じて的確なパターンを繰り出せるように偵察の細かい技を1つずつ身につけること、
それらを一気に身に付けるのは不可能に近いから最初は1つ1つ別々にでも練習したいわけだ。
もちろんある程度慣れてきたらニュートラルなマインドセットから相手に応じて使えるように調整しないといけないが、最初から完成形を目指すより段階的にやったほうが早いこともある。
相手の崩し方
トッププレイヤー相手になればなるほどハラスの刺さることは期待できません。
視界の取り方もうまい、シムシティやユニットの配置も上手い、とっさの反応も早いしうまい、カウンターもしっかり入れてくる。万が一ダメージを受けた場合のリカバリーも理想的。
しかしトッププレイヤー同士の対戦でもみんな自分から積極的にハラスやプッシュを入れていきます。なぜでしょうか?
めちゃくちゃな欲張り方に負けないためのリスクヘッジ? 偵察を兼ねている? 確かにそれも大事な要素です。
でももっと大事なのは、仕掛ける側は自分のペースで出来るのでミスをしにくいということと、そして形の崩れた試合により適応しているのは自分のほうだということです。
戦闘が発生したときに自分のほうがミスをする確率が低いのなら、ハラスの数をこなしていれば得をするはずです。
ダメージによってスタンダードから逸れた展開に自分のほうが慣れているのであれば、やはり自分のほうがミスをしにくくなるはずです。
つまり、相手のほうが慣れているようなシナリオに入ってしまったのでは相手は崩せないのです。
自分の得意とするシナリオの完成度をあげること。そしてその中から相手のミスしてくれそうなシナリオを選ぶこと。大事なことは単純化するとその二点です。
チーズの意義
まずチーズの効果はなんといってもシリーズの「圧縮」そして「省力化」です。
長丁場の大会などでは1日に30ゲーム以上も戦うこともありますが、短時間で終わり一定確率でスコアを取れるようなゲームを適宜入れていくことでその疲れを抑えてくれます。
カードゲームでドローするだけのカードを入れることで本当に欲しいカードを引きやすくするのと同じように、自分の得意マップを引き立てる。
チーズで一部ゲームを運に任せつつ相手に特定の印象を与えることでプレイを誘導し、自分で展開をコントロールして取るぞというマップを引き立てる。そういう役割があります。
自信のあるときはオールスタンダードで戦ったほうが期待値が大きくなるんじゃないかと思うことは確かにありますが、
疲れをセーブして一番力を発揮しないといけないときに発揮できるようにするのもまた大事なスキルといえるでしょう。
「スキルチェック」という概念もあります。「このチーズの対応を取りこぼしていないようなしっかりしたプレイヤーか?」というテストとしてチーズするわけです。
マニアックなチーズへの対応を磨く時間を犠牲にしてスタンダードな展開でのプレイばかりを強化しているようなプレイヤーにスタンダードゲームで負けてしまう危険を抑えるリスクヘッジともいえます。
「番狂わせ」を狙って格上相手に長いゲームを避けてなるべく実力差を出させないために使うこともできます。多くの人にとってはこちらのほうが本来のチーズの意義かもしれませんが
当然格上側も力の差によるアドバンテージのぶん安全めにプレイすることでリスクヘッジすることができるので必ずしも最も有効とは限りませんし、個人的には格上を倒すツールとしてそこまで信頼していません。
チーズの刺し方
素人なりのチーズではなく、トッププロもたまにやっているようなチーズを見劣りしないベンチマークで遂行して、その裏にあるロジックを含めて理解して刺しにいけるかどうかがポイントです。
素人なりのチーズというのはどういうことかというと、特にKRダイア上位層あたりにひたすらチーズばかりしている人がよくいますが、
そのあたりのランクで見られるチーズはたいていプロの使っている理想的に組まれたものと比べて微妙に効率が悪くてユニットの出るのが10秒遅れていたり、
無意味にワーカーを作りすぎていたり、ユニットは出ていても攻めるタイミングが間違っていたりするということです。
(攻めるのが早すぎて防衛施設が溶かせずにユニットカウントを減らしてしまうor遅すぎて弱いタイミングを突けていないorハラスでユニットカウントを一方的に削れるのに上手くハラスを入れられていない)
ビルドや立ち回りがわずかにでも切れ味悪い場合、本来であれば刺せるはずの"警戒が不十分なぬるい守り"にも刺せなくなるのでじゃんけんの効率が非常に悪く、オーダー相性についても誤解を招きます。
強いチーズを簡単に手に入れたければプロの試合を100ゲームくらい見て変な試合を探してください。レアだけどプロが使っていて有効に作用してる変なオーダー。それがあなたの命を賭せるオーダーです。
勝ち筋について
テンポ勝ち(ついた有利不利を利用して勝ちきる)
ハラスや内政速度の違いでアドバンテージ差がついた場面では自分のほうがオーダーが早い(相手のオーダーが遅れている)ことになります。
すると別にオールインでもないような内政と両立する攻めがゲームを決めてしまう可能性が出てきます。
3rdを取りながらのスティムメディバックのタイミングプッシュ、ブリンカーセントリーイモータルの3rdへのプレッシャー、ミュータダブルリングでの3rd強襲などがゲームを決めてしまいます。
この状態を筆者は勝手にテンポ勝ちと呼んでいます。
テンポ勝ちする条件は主に
- 相手の内政を犠牲にしたラッシュをうまく少ないダメージでディフェンスしたとき
- ハラスで相手により多くのダメージを与えたとき
- タイミングプッシュなどで相手に一定のダメージを与えたとき
- 極端な欲張りを悟られずに成功させたとき
- 実力差があって素の内政速度が違う
などです。
- FE同士で自分のほうが欲張ったバージョンだったとき
くらいのアドバンテージ差だと、確かに有利ですが直接的に軽いタイミングプッシュでゲームが決まってしまうことはないでしょう。
結果的に有利を保ったまま中盤で相手の拡張を阻止したり、大規模戦闘を制することで勝利するという形になるのではないでしょうか。
その場合テンポ勝ちしていることは勝因ではありましたが、直接それだけで勝ったわけではありません。
テンポ勝ちでゲームを決められることの対策
大きすぎるアドバンテージ差はどうしようもありませんが、ある程度までは時間を稼げば何とか誤魔化せます。
相手が前に出るのと同時に入れるハラスなどで時間を稼ぐのが最大の希望です。
ハラスを無視して攻めに集中することで決めきられるようなパターンはどうしようもありませんが、
ハラスにサプライを割いてもなお何とかディフェンスできる形であれば「無視しても決められないから逆に差が詰まる」という脅しが効くので相手の攻めを中止させて時間稼ぎできますし、そうでなければ逆転成功です。
中盤・終盤の大規模戦闘勝ち(編成勝ちまたはコントロール勝ち)
テンポ勝ちが狙えなさそうなときに基本的に目指すことになるのが大規模戦闘勝ちです。
テンポで負けていてもマックスアウト近くになればその影響は薄くなりますから、ディフェンダーズアドバンテージを利用してうまく守り、
強い軍編成を整えて、相手より質が高いか同じレベルの軍を作って大規模戦闘で勝つことを目的とします。
この勝ち方をするには大規模戦闘でしっかりと隊列を整えスキルをうまく使うコントロール力がないといけません。
正面のコントロールのみでなく、ドロップなどで相手を動かすことでユニット配置を乱すテクニックも良い当たり方をするために重要になります。
大規模戦闘での勝敗というのは、資源ロストが1000単位で変わってくるので、うまくやればそこまでの差は一瞬で埋まります。
拡張の阻止
序盤に相手の3rdを1分単位で遅らせたりするとテンポ勝ちに繋がりますし、
中盤以降はうまく相手の資源収入を断てれば相手の追加ユニットが一気に減るので、大規模戦闘でそこそこの戦果の痛み分けを繰り返してしまう場合は拡張の阻止が決め手になります。
先にいい位置を取ってしまう
お互いが似たような軍隊の大きさの場合、どうしても牽制や小競り合い程度でうろうろしながら本格的に組み合わない事態が発生します。
そういう時は先に相手のベースや生産施設を殴れるような位置に入った側が良い当たり方をしやすくなり戦闘に勝ちやすくなります。
時間が経てば重要な建物がダメージを受けてしまうので、軍隊を倒すまでの制限時間が設定されてしまい、突っ込むことを強制されてしまうのです。
大会で勝つために何種類のオーダーが必要か?
相互補完できるようなオーダーであって、マクロオーダーを最低1つ含んでいればマッチアップごとに2、3種類あれば十分戦えます。
たとえば
- 1.チーズ耐性の高いセーフティーマクロ
- 2.欲張りマクロに強いチーズ
という組み合わせであれば
セーフティーマクロはグリーディーなマクロに出遅れやすいですが、チーズがあればグリーディーマクロに対する抑止力になるか、スコアを稼げるかするわけです。
セーフティーマクロがある時点でワンチャンを狙ってくる格下相手の安定感もあるでしょう。
- 1.グリーディーマクロ
- 2.早期チーズに強い早期チーズ
1.でチーズを誘ったら2.が強く、2.でセーフティーマクロを誘ったら1.が強い。
基本的に自分のオーダーの中で弱点をズラすことさえできればいいので
- 1.グリーディーマクロ
- 2.セーフティーマクロ
というような組み合わせであっても相手は狙いを絞りにくくなるので相手の仕掛けへの牽制として十分有効です。
ただし相手に早期チーズを警戒させるプレッシャーがないのでグリーディービルドを連発されるのが少し嫌でしょう。
大会前のウォーミングアップ
とにかく手を暖めてよく動くようにしましょう。
オフラインならカイロを持ち歩いておくのは必須です。
家ならお湯に漬けて温めたりしてもいいでしょう。
個人的にはその場で足踏みしながら両手を上着のポケットに入れたままこすり合わせるなどして体温を上げるのもダサいけど結構効果的です。
格上に勝つ方法
というとチーズと真っ先にいう人も多いと思いますが個人的にはうんうんと首肯も出来ません。
というのは実力差を埋めるために相手もろくに食らったことのなさそうな変なことをしたり早く終わらせようとするという方針自体は確かに間違っていませんが、
優れたプレイヤーはチーズへの対応も全体的に洗練されているし(見たことのない変なプレイに対して原則に立ち返って有効手を導き出すようなロジックも含めて)
あまり早く殺そう殺そうとしすぎると「実力差があるからとりあえずラッシュは警戒しとこう」程度のぬるい網にひっかかるからです。
実際に俺の経験では韓国プレイヤーや欧米上位から勝ちを取るときにチーズを決めた割合は半分あるかどうかです。
その時のトップメタラッシュを警戒した安定オーダーで相手のラッシュを逆にカウンターしたり、
裏で拡張できるタイミングプッシュで得たアドバンテージを守り切ったりというゲームが意外と多いです。
またリスクとリターンのバランスのいい戦法になるため負け試合でもそれなりに戦えることで学べるものも多いのもプラスポイント。
ともかくまずお互いの能力を考えましょう。格上といっても個性があります。
めちゃくちゃコントロールがいいし手が早いけどアホな判断をすることがあるプレイヤー相手なら徹底して変なことをするのも手ですし
判断の良さだけで食ってるようなプレイヤーなら格上だからといってコントロールやプレイの速さでついていけないとは限りません。
あとは何よりメカニクスに絶対の自信があるオーダーしか使わないことです。
完璧にプレイできると思っているようなオーダーでのみイーブンに近づけます。
何かに動揺してわずかでも操作をミスしたり生産が止まるようなオーダーは論外です。
上手さには天井があるということ
いくら上手いプレイヤー相手でも、1つ1つの技術の差はたかが知れています。
サプライブロックしない内政の上手さには天井があります。サプライブロックした時間は0秒までにしか減らせません。
サプライブロックした時間がマイナスになって因果律が狂うようなSFチックな展開はありません。
(より正確にはオーダーの都合で詰まることが決まっているような数秒~十数秒までしか減らせない)
連続生産にも天井があります。止まることなく大きな重複もなく生産予約を入れられるという地味な上手さを超えることはありません。
ポイントが800も離れているようなKRGM1位とKRGM100位を比べても中盤に入るまでにユニットの出てくるタイミングが生産施設1回転分とか目に見えて変わるということはありえません。
(中盤の生産施設追加のタイミングがズレるということはあるかもしれませんが、緊張やハラスによるダメージがなければこれもほぼ同じようにこなせるはずです)
コントロールの上手さに関してはどうでしょうか。
システム上できる最高の動きが限界ですね。ユニットが移動速度より速く移動することはありません。
手駒の量に影響も受けます。スペルキャスターを駆使しあうサプライマックス合戦はコントロールする対象が多くて技術を湯水のように注ぎ込めますが、
Blinker20体しかいない状況ではいかにBlinkマイクロが上手くても50サプライのTankとMMが絶妙に配置されているところに突っ込むことはできません。そういう意味で天井はあります。
「普通のマイクロのプロがしっかり待ち構えてるところを上手いマイクロのプロでも突破できない状況がある」のは間違いありません。
相手がどれだけ上手くても「このタイミングはこの陣形をとっていれば出し抜かれない」という答えさえ見つかれば守れるということです。
その一方で、どんなに上手いプレイヤー同士でも微妙なことで差がついてどちらのほうがマイクロが上手いかが決まるのは面白いところです。
「どっちも鬼のようにコントロールが上手いけどコントロール合戦を30秒続けるとこっちのやつのほうが勝つ確率が高い」と結果に響いてきます。
しかしこれはせいぜいマイクロ能力値は99と100の間にも無数に存在するというくらいの話でしかありません。システム的にどうしようもない限界を超えることはできません。
殺気を悟らせないパターン
「憧れのプレイヤーと記念に普通のマクロゲームをしたがっている」あるいは「強いプレイヤーに真正面から挑戦したがっている」ように思わせてください。
真剣にスキルで相手を出し抜こうと考えてプレイしてください。マクロゲームを気合で1本取ってチーズで1本盗むことで実力差を埋めます。
チーズをする時もオープニングはいかにもマクロ狙いのように始めてください。そして相手がかなり念入りに偵察しなければ気付かないようなラッシュへのtransitionを。
チーズへの対応方法を知っている相手に対して、見ればわかるようなチーズは広い4人用マップか相手が無偵察じゃないと効きません。
BoXにおける実際的組み立てなど
まぁ心理戦でいえば裏を書いて同じようなこと連発などいくらでも考えられますが、相乗効果のある典型的な組み立てをいくつか挙げます。
初見の対戦では1ゲーム目に与える印象の意味が大きいので1ゲームで印象を与えられるでしょうが、特定の印象を持たれている相手に印象を上書きするにはより多いゲーム数が必要でしょう。
グリーディーな印象→セーフティービルド→X
グリーディーなプレイで相手の次ゲームでのラッシュを誘ったうえでセーフティーなビルドの有効性を上げる。
攻撃的印象→グリーディーなビルド→X
攻撃的なプレイを見せることで相手に受身な意識を植え付け、
次のゲームで逆に欲張ることでグリーディーなビルドでセーフティーなビルドに対してアドバンテージを取りやすいことを利用する。
守備的な印象→グリーディービルド→X
堅くプレイするからチーズしてもしょうがないなと思わせておいた前提があるので、
グリーディービルドでアドバンテージを取れる展開かグリーディービルド対決になりやすい。
チーズA→チーズA対策が裏目に出るチーズB→X
チーズ絡み・裏目絡みは精神的ダメージも加わりやすいのが強烈でしょう。
おまけ~さまざまなプレイスタイル
居酒屋の雑談レベルの話。点数は個人的に考える有効度。
チーズバラエティタイプ 70/100
「チーズAに堅く組めばチーズBに隙がうまれる」ようにまとめて対応できるオーダーがないようなチーズの組み合わせをポンポン投げてくるタイプ。簡単にメタる手段がないので対応力を問われる。
こういうプレイスタイルを持っているプレイヤーにも単純にメタレベルで振り回せるプレイスタイルが好きなプレイヤーの嗜好である場合と、
圧倒的実力差を埋める手段がこれしかないという場合と、かけられる時間が少なくても出来る限り強い相手に勝ちたいという時短的効率を突き詰めた結果の場合がある。
闇雲チーズタイプ 20/100
いろいろチーズを投げてくるが相互補完できてないのでそれら全般に安全なオーダーなどでまとめてメタれる。
「格下相手だからとりあえず安全めにいくか」でまとめてメタれる。
組み合わせが悪い。このゲームのことがまだよくわかんないけど勝つ確率的にベストを尽くしたい人がやれば適当にプレイするよりはいい。
わかってる同士で敢えてやると「まぁあんなの二度目は来ないだろう」でガードをといたところに刺さってしまう可能性はある。
変則プレイ+メカニクスタイプ 80/100
珍しいオーダーや独自スタイルをよく使うForGGや中国系のプレイヤーに当てはまる。
オーダーの内政効率や安定性はスタンダードほど優れていないかもしれないが、その少し変なことを完璧なマクロとマイクロでこなす。
普通と違うことに面食らって内政を少ししくじったり対応をミスったりすると差がつく。そのあとは操作技術と物量の差でゴリ押しされてしまう。
しかし研究されてオーダーの問題点を理解されると不利がつくようになるのでバックアッププランもないと辛い。
スタンダード+メカニクスタイプ 90/100
堅いプレイスタイルを多用するトッププロプレイヤーに当てはまる。基本的に上手さで肉薄しないと勝機が得られない。
こういうプレイヤー相手にジャイアントキリングは狙いやすいとはいえないが、
スタンダードビルドをしてくると限定できれば何をするか読みやすい(というか相手のチーズを除外すればローリスクで勝負を仕掛けられる)のでオーダーチョイスをうまくやれば優位を取れる可能性はある。
スタンダード+メカニクス+チーズ混ぜ 95/100
sOsやMvpやMaruやLifeなどのようにスタンダードなプレイだけで勝ち続けられそうなほど滅茶苦茶上手いのにたまに混ぜるチーズがいともたやすくスコアカウントを稼いでいくタイプ。
リスクもあるが読みにくく対策しにくい。オーダーを絞りにくくすることでマクロとチーズが互いの効果を高め合っているタイプ。
こういう上手い上に平気な顔をしてチーズも混ぜるプレイヤーが一番ここぞの爆発力があって世界タイトルを取りやすいと筆者は考えている。
格上にボコられるの本望スタイル --/100
めちゃくちゃ上手い相手に何かを教わるためにプレイするタイプ。
見据えているのは今の勝ちではなくいつかの未来の勝ち。
オーダーも攻め方もすべて「上手いプレイヤーがどう対応するかを見たい」だけの理由で選択する。
ミラーなどでは「自分がわからずにやられてしまうプレイスタイル」を模倣する練習をして望むことで優れた対応を教えてもらえるので効率が倍増する。
リンク:ラダーをゴリゴリ回すとき/リプレイの研究
http://seesaawiki.jp/sc2buildsjp/d/PSiArc%a5%b3%a5%e9%a5%e0#content_1